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第8話 再会

 次の日の夕方には勝則は自宅の近所まで徒歩で移動していた。人目を避けるため、公共の交通機関を使わなかった。だが、脱走の後、自分がここに来ることは誰もが予測しているはずだと勝則は思った。


 勝則は、沙耶と伽耶の通学路の交差点の目立つところに、特殊な結び方で青い色のひもを付けておいた。紐を見た沙耶と伽耶は交差点の角にある公園に入っていった。


 奥のベンチに勝則が座っているのを見つけて、沙耶と伽耶は足早に駆け寄った。怪しまれないように、間隔を取って他人のようなふりをして話しかけた。


「兄さん、来てくれたのね?」と沙耶。


「うん。逃げてきたんだ。多分すぐに見つかると思う」と勝則。


「大丈夫よ。私たち、ちゃんと準備をしておいたから」と伽耶。「荷物を取って戻ってくるから、30分後に別の場所で落ち合いましょう。」


 勝則は指定された別の公園に移動して、沙耶と伽耶を待った。電動自転車に乗った沙耶と伽耶が現れた。大きな荷物を載せている。


「兄さん、すぐにこれを食べて」と沙耶がサンドイッチの入った箱を勝則に渡した。


 勝則は飲み込むようにサンドイッチを食べ、水筒のお茶を飲み干した。


「さあ、行きましょう」と伽耶。二人乗りは目立つから、日が暮れるまでは自転車を押して移動するのよ。」



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