夜中の間、三人は二台の自転車で移動し、ある山小屋を目指した。大きな荷物にはキャンプ道具一式が入っていた。山小屋は両親がキャンプ用の別荘として、あたり一帯の土地と一緒に購入したものだ。
夜明け前に小屋に着いた。三人はすぐに一つの大きな寝袋にくるまった。
「兄さん、もう大丈夫だから」と沙耶。
ここもすぐ見つかるのではないかと勝則は思った。
伽耶が心を読んだように、「大丈夫よ。兄さんは心配しないで」と言った。
勝則は以前、やたらに知能の高い二人の妹を気味悪く思っていたが、今はすっかり身を任せる気になっていた。
「兄さん、必ず来てくれるって信じてたわ」と背中から沙耶がささやいた。
施設から逃げ出して以来の疲れがどっと出て、勝則は即座に眠りについた。