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呪いの人形の話。

6.実家から出てきた呪いの人形。 ~その1~ 嫌な予感がする夢

 この与太話は、まだ始まったばかりですから、皆さんに理解されやすい話として『呪いの人形』の騒動を書こうかと思います。


 呪いの人形騒動については、と、キッパリ言い切れる部分があり、経緯が書きやすいという、率直な本音があったり…。


 もう1つ、この手の騒動にて、全家族を巻き込んだ大きな騒動が幾つかあるのですが、そのうちの1つは、これを執筆している現時点にて本当にあの事案が解決したかどうか、未だに分からない部分が多く、これを先に書くのは少し躊躇がありました。


 そんな理由から、今の段階で呪いの人形話を序盤に書くのが最適であると判断したわけです。


 そして、この話は言うまでもなく『実話』であることを明記しつつ、私や家族等の個人情報保護の観点から、固有名詞に関して伏せさせながら執筆をさせて頂きます。


 ◇


 最初の『からわけ』の話で書いた通り、私たち家族は、コロナ渦の最中に末期の肺癌で亡くなった父から跡を継いだ小さな町工場を経営しています。


 私は20年以上前に、今でも相変わらず、とても大好きな妻と結婚したのですが、実家が2世帯住宅ではなかった為に、私は実家のすぐそばに家を建てて生活しています。


 これも、土地代が都心と比べて驚くほど安価でかつ、田圃と山ばかりのド田舎だからできるコトでして、私たちは底辺の町工場の人間ですから、決して裕福な家庭ではありません。


 実家は工場の隣にあって、父が亡くなった後は、私の母親と独身の弟が暮らしていたのですが、これを執筆している半年前に母が敗血症性ショックで倒れて以降、実家は母親名義になっていますが、実質は弟が実家を持っているのと同然なのです。


 これは、父が亡くなる前に、私が家を持っていることから『最終的に実家は弟に渡す』ことで話が、決まっていているからでして…。


 私たちは父が亡くなっても、家族や兄弟間で揉めるような要素も財産もありませんし、ド田舎に建てられた小さい町工場とその敷地、実家や私の家があれば、それで充分なのです。


 そんな最中、母が敗血症性ショックで倒れ、一時は危篤状態で覚悟を決める場面もありましたが、医師の治療の甲斐あって、一命を取り留めました。


 一命を取り留めた後の母は頭はシッカリしていまして、言葉も明瞭ですが、下半身が、全くと言っていいほど動かない状態ですので、要介護5になってしまいました。


 今後、母の状況が改善したとしても、要介護4がせいぜいでしょう。


 その状況では、私たち夫婦や弟が、母と一緒に生活ができる状態ではないので、本人や家族、ケアマネジャーなどを交えて相談した結果、介護施設で暮らすことになりました。


 私たちが長期の休みで、面倒を見られるタイミングで、母の一時帰宅はあり得ますが、大半は施設で過ごす状況になるでしょう。


 こうなると、母は実家にいられない事態は避けられないし、独身の弟が誰かと結婚する迄の間は実家で1人暮らしとなると、身丈に合わせた生活にするためにも、家中の不要品を片付けるコトが必要と考えました。


 それで、不要品の後始末を先延ばしにすれば、私たちが歳を取って後から片付けに着手するとなると、完全に手に負えなくなるのは、火を見るよりも明らかです。


 弟に全てを押しつけるのも酷だし、私も独身前は世話になった実家ですから、私や妻を含めて総力をあげて片付けることにしました。


 実家から出る大量の不要品やゴミに関しては、 ウチは町工場をやっている関係で、会社でお願いをしてる清掃業者を通じて、個人的に処分してもらうことにします。


 そこで、仕事の手が空いた休日になると、協力しながら実家の片付けを徐々に進めていったのですが…。



-そんな感じで、再び実家の片付けを翌日に控えた金曜日の夜-


 私は不思議な夢を見たのです…。


 実家の階段の光景が浮かび上がって、階段から水がジャバジャバと流れ落ちるような夢でした。


『あまり良い夢ではないなぁ…』


 父が亡くなる前に、夢の中でウチの工場が激しい雨漏りになっていて、工場内にいた父と私が右往左往しているような夢を見ています。


 この夢を見た後に、父は脳に癌が転移した影響で足が動かなくなって余命宣告を受けた上に、会社はコロナ渦で不景気に見舞われて、業績が激しく落ちていたので、今後の不運や困難を示唆しているような夢でした。


 実家は弟しかいない状態ですから、夢の中で実家の衰退を暗示しているメッセージ的な夢である気もしましたが、奇妙に引っかかる点があります。


 それは『家の雨漏りの夢』ではなく、『階段に水が流れている夢』だったからです。


 私は、しばらく夢の中のシチュエーションを思い返して考えていると、うちの実家の階段には階段下収納スペースがあり、そこにがあることを、夢の中で示していそうな予感を覚えました。


 私は翌朝の土曜日、仕事は休みだったので、弟に今日は実家の階段下収納を片づけることを伝えて、2人で片付けることにしたのです。


『うーん…、何もなければ良いけど…』


 こういう場合の私の嫌な予感は、高確率で当たることが多く、家族の中で、そのことは周知されているので、弟と妻に夢で見た事が気になっていると伝えると、2人とも少し眉間に皺を寄せていたのです…。

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