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7.実家から出てきた呪いの人形。 ~その2~ 妻も巻き込んで大騒ぎに。

 私と弟は階段下収納を片付ける前から変な夢を見て『胸騒ぎ』がしたので、何かあった場合の予防策を少しだけとりました。


 神社やお寺のお守りをポケットに入れて肌身離さず持つことにします。


 さらに悪いモノを寄せ付けない意味と、お清めを込めて、神社のお清めの塩をひと舐めした後に、コップの水を飲み干しました。


 弟は私の嫌な予感に関して、半信半疑の部分がありましたが『仮に変なものが出てこなくても、私の子供の時から一度も開いたことのない開かずの階段下収納が片付くから良いじゃないか』と、私が説得して、弟は納得してくれたからホッとしたのです。


 私の可愛くて大好きな妻は、休日で遅くに起きてくる子供の食事の用意、それに家事に追われますから、だったのですが…。



 最初に階段下収納を開いた瞬間、なんだか嫌な瘴気のようなものが漂い続けているような気がしますが、とりあえず弟と手分けをして、物を廊下に運び出し、再び収納内に保管するモノと捨てるべきモノを分ける作業を進めました。


 中には母の学生時代や若かりし頃のアルバムなどもありましたが、私達が小学生の頃に引っ越した際に、絶対に使わなそうなものを、父母が階段下収納に入れておいたと直感的に分かる雰囲気です。


 母の古くからある私物に関しては、敗血症性ショックになって要介護5ですが、頭もシッカリしている上に存命中ですから…。


 母の私物に関しては、劣化が激しく朽ち果てて、捨てざるを得ないもの以外は、全て保管する方向で仕分けをします。


『何だろう…、階段下収納から未だに瘴気が漂っている感じはあるけど、今のところ問題がありそうなモノは出てない。このまま何も出てこなければ、あの夢は私が気に病みすぎだけなのだろう…。』


 そんなコトを考えながらも、実家の階段下収納の片付けは、大きな問題が起きずに順調に進んでいきます。


 そっちを見る力に関して、基本的に私よりも劣る弟は、物怖じせずに次々と不要品をゴミ袋に入れていくのですが…。


 階段下収納にしまわれていたモノは、35年以上前のものが大半ですから、私たちの子供の時から時間が止まっているような感覚に襲われていました。


 無論、不要品がとても多くて、捨てるべきものが大量に出てきて、大きなゴミ袋が何枚あっても足りません。


 これを普通のゴミに捨てれば、ゴミ捨て場がウチのせいで一瞬で満杯になりますから、会社でお願いしてる清掃業者に処分を頼む事になるでしょう。



 -片付けも終盤差し掛かってきて、残り4分の1程度になったころ-


 階段下収納の奥にしまわれていた、大きな段ボール箱に弟が手を掛けた時でした。


『ガタン!!! ガタン!!!』


 誰もいない部屋から、扉や窓が激しく揺れるような音がして、私と弟は顔を見合わせます。


 弟は何も感じていませんが、その箱に近づいた途端、目眩と軽い頭痛、それに肩がギュッと締まる感覚があるぐらい、もの凄い瘴気を放っています。


 私がそんな瘴気を我慢して、段ボール箱を開けると、そこには三味線を持った芸子のような姿をした日本人形がありました。


 目が動いたり、髪の毛が伸びるような明らかな霊障ではありませんが、誰もいない部屋の窓や扉を揺らすぐらい、相当な瘴気をまとっているのは確実です。


「おい!!、これはマジにやばいぞ!!。すぐに供養しないとマズい!!」


 人形は再び段ボール箱に入れられて、玄関の外に置かれました。


 そして、効力が強そうな神社のお守りを段ボール箱の上にのせると、少しだけ瘴気がおさまっている気がします。


 私たちは問題の人形を、そのまま置いといて、階段下収納を完全に片付けてしまう事にしました。


 その片付けが終わるまでの間、妻に野暮用を頼むことを決めて、実家から数十メートル先の私の家に向かうと、妻が外で洗濯物を干しているのが見えて、妻から声をかけられます。


「ねぇ、何か嫌なモノが見つかって、YouTubeでお経を大音量で流さなかった?」


 私はそんな事をした覚えはないし、妻の言葉を聞いて、かなり嫌な予感しかしません。


「いや、そんなコトなんてしていないよ。近所まで聞こえるような大音量でお経なんて流したら、近所の人たちの目が変わるだろうし…。」


 妻と私は、しばらく無言になって顔を見合わせます。


 最初に言葉を発したのは妻でした。


「さっき、洗濯物を干していたら、お経が聞こえてきたの。てっきり、あそこから禍々しいものが見つかったと思ったのよ…。」


 俺は、意を決して、禍々しい日本人形が階段下収納から見つかったことを、簡潔に話します。


「俺の予想通り、階段下収納から変なモノが出てきたんだ。もう、完全に特級呪物だ。弟が日本人形が入った段ボール箱を手に持った瞬間に、誰もいない部屋の扉や窓が激しく揺れたんだ。」


 妻は、眉間に皺を寄せた私の顔をマジマジと見て、あの人形が超弩級の特級呪物であると、互いに確信をした次第でして…。


 弟が人形の入った段ボールを手にした直後、何の因果なのか、少し離れた場所にいた妻の耳からお経が聞こえたのは、本当に恐ろしい話です。


『こりゃぁ、マジに大変な事態になったぞ』


 霊感が全くない妻からお経が聞こえてきたぐらい、あの人形は、とてもヤバイものでした。

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