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10.実家から出てきた呪いの人形。 ~その5~ 呪いの人形の余波と対策。

 -呪いの人形を供養に出してから数日後-


 私が家から玄関を出て、数十メートル先にある工場へ歩いて向かおうとすると、なぜか、お経の空耳が聞こえてきました。


『まずい、あの人形の余波か?』


 階段下収納にあった人形の段ボール箱に弟が触れたときに、妻は洗濯物を干していてお経を聞いたので、私も妻と同じ怪奇現象を体感したのです。


 お経は何のお経を唱えているの分からないぐらい、微かなものですし、強い霊障を感じるほど酷くはないので、これは、私に霊感があるが故に、偶然に聞こえてしまったと考えました。


 皆様は『人形供養したのに、なぜ同じ悪霊が出たの?』と、思われるかも知れません。


 何故なら、人形を寺社に持ち込んでも、何らかの供養をして、供養された人形がその日のうちに焼却処理されるケースは少ないと思います。


 寺社によっては、半年~1年程度に1度にある特別な日にしか、お焚き上げをせず、それまでは専用の祭壇などで供養をしながら、人形などを保管している寺社もありまして…。


 寺社のお焚き上げイベントに参加しない限りは、即日供養をした上での焼却処理は難しいのです。


 しかし、私たちが呪いの人形を供養して頂いたお寺は、人形供養専門ですから、定期的にお焚き上げを行うようですし、供養をお願いした人形は、人形供養堂にしばらく置かれて、幾日かは供養のために読経をしていると思われます。


 また、私にもお経が聞こえた怪奇現象から推測ができることは、呪いの人形を供養している最中に、人形に憑いていた悪霊が、私に向けて何らかのメッセージを発したかも知れません。


 あとは、人形に憑いていた悪霊の類の残滓が、実家や私の家に潜んでいる可能性も感じました。


 この状況になって、読者の皆様の中には、私たちの行動に関して、自力で悪霊を祓おうとしている事を疑問に思う人がいると思います。


 前置きをしますが、ウチにお金があって時間的な余裕があるなら、信用できる有能な霊媒師に頼むのがベストでしょうが、霊媒師なんてピンからキリまでいて、どの霊媒師が本物なのかよく分かりません。


 だからこそ、この手の案件が起こった場合、私たちは、何らかの手段で自力で祓うことにしています。


 数年前までは、親類に霊媒師がいて、この手の事件があると、存命だった父を通じて、その霊媒師に対処してもらった事がありました。


 その時は、社用地として買ったばかりの土地にあった、小さい道祖神のようなものを、元の持ち主に壊されたのですが、それは、私の夢に道祖神の石が破壊された夢を見たのが発端だったのです。


 今は、その親類の霊媒師が、高齢によって痴呆症を発症しているので、全く話が通じない状態ですから、この手の相談ができない状態になりました。


 その親類の霊媒師は、亡くなった父の姉でしたから、姉弟やその家族から、お金なんて取れないなんて強く言われながらも、お札やお守り、それに対処の仕方を教えてくれて、とても助かっていたのです。


 しかし、今は、自力でこの状況を打開して、人形の悪霊を祓いざるを得ません。


 そこで、本題に戻って、人形に取り憑いていた悪霊に関して色々と考えてみると、階段下収納から人形の入った段ボール箱を発見して、誰もいない扉や窓を揺らすほど、現実世界で力を及ぼしていたから、とても深刻な状況と断言できます。


 私のような霊感最弱の人間や、全く霊感のない人が、強い霊障を感じるまでに悪霊が成長した時点で、取り憑いている悪霊は1つだけではなく、複数が絡みあって1つになっているケースが大半なようで、とてもタチが悪い呪いの人形に変化していました。


 ただ、今の霊障に関しては、私の拙い力で今の現状を見る限りでは、人形に入っていた悪霊の残りが『仮に実家や私の家にいたとしても』、相当に力が弱くなっていると感じていまして…。


 人形に入っていた悪霊の残滓が何処かにいるとしたら、それを潰すためにも『除霊や浄霊』が必要です。


 そして、肝心な部分の除霊や浄霊ですが、『人間に取り憑いた場合』、酷い悪霊であっても、力のある寺社に出向いて、神仏に向かって払って頂きたいと強い念を込めながら参拝すれば、全てが祓われることが叶わなくても、ある程度の憑きものが落ちると思います。


 ただし、取り憑いている悪霊によって様々なタイプあって、お寺の読経に弱かったり、神社の神様に弱かったりして、個々に傾向が違いますから、お寺と神社をセットにして行くと、効果が上がる可能性が高まります。


 また、寺社の祈祷に関しては、『生きている者』に対して行うことが多いので、霊障や亡くなった者に関したこと一般的な祈祷によって効果を得ようとするのは、筋違いである説を唱える人がいることも頭に入れて置いたほうが良いでしょう。


 このケースの場合、除霊や浄霊に特化したような祈祷ならOKですが、そんな祈祷をする真っ当な寺社は希有ですし、仮に可能であったとしてもカルトっぽい印象があって、イマイチ信用がおけません。


 もしも、呪いの人形の余波があって、私たちに取り憑いているとしたら、比較的に大きな寺社に出向いて、本殿に参拝する際に、そのことを洗いざらい頭の中で神仏に向かって話した上で、悪いモノを祓うようにお願いをしたほうが得策でしょう。


 逆に、人形に憑いていた悪霊の残滓が、人間ではなく、『何か』に取り憑いたとしたら、それを供養に出せば良いわけです。


 例の人形の悪霊の残滓が『何か』に取り憑いた場合、呪いの人形の本体はお寺で供養されるでしょうから、大きな霊障が起こらない程度の弱い悪霊の残滓が入ったと考えられますが、再び大きくなる前に芽を摘まなければいけません。


 これらのウンチクは、若い頃に、先ほど述べた親類の霊媒師から色々と聞いた話が大半を占めています。


 今回の人形に取り憑いた悪霊に関しては、並大抵ではないと予測をしていたのですが、思ったよりも酷かった…、というのが、私の率直な愚痴だったりするのですが…。


 私は、結果的に、人形に憑いていた悪霊の残滓がお寺から飛んできた可能性と、供養する際に何処かに残滓が取り憑いた可能性の両方を疑いつつ、アクションを起こすことを決めたのでした。

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