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14. よもやま話1 『東国三社参り』 ~その2~

 東国三社参りで、ここだけは押さえたいポイントのような場所を、私の勝手なチョイスで取り上げようと思っています。


 どの場所も、とても御利益があるのですが、全てを網羅してしまうと文字数と話数が足らないばかりか、この作品自体が『神社仏閣ガイド』となってしまう危険性を懸念した次第でして…。


 読者の皆様には、私の勝手な判断で多くの場所を割愛したことを、お詫び申し上げます。


●鹿島神宮


○高房社

 本殿のそばにある、小さなお社ですが、鹿島神宮の公式サイトでも紹介されている通り、ここのお宮を参拝してから本殿に参拝する、古くからの習わしがあります。


 このお社は、建葉槌神たけはづちのかみが御祭神なのですが、このお宮を参拝してから本殿に参拝する理由がよく分かっていません。


 知らない人が大半でしょうし、高房社を参拝しなくても、天罰が下るとか神様が嫌がるなんて事はないと思いますが、私は、このお宮を最初に参拝してから本殿を参拝することにしています。


○本殿(拝殿)

 本殿や拝殿は江戸時代、徳川2代将軍の秀忠が寄進したもので、重要文化財に指定されていて、祭神は武甕槌神たけみかづちのかみです。


 本殿や拝殿が別れているお社でして、本殿は神様がいる場所なので入れないので、拝殿の前に置かれている賽銭箱の前で参拝をします。


○奥宮

 武甕槌神の荒魂あらみたまが祀られていますが、そもそも、荒魂は、荒々しく猛々しい側面を奥宮で祀っています。


 『個人の判断に任せますが』、奥宮で参拝をする際は、なるべく柏手の音を出さずに手を叩くと良いと言われてまして…。


 武甕槌神の荒魂は猛々しい側面があるのと同時に、よっぽどの非常時以外はお休みになられている事が多く、荒魂を起こしてはいけない…なんて、配慮があるようです。


 余談ですが、神様の穏やかな側面は和魂にきたまと呼びまして、こちらは本殿にお祀りしているのですが、鹿島神宮や香取神宮のように、和魂と荒魂を本殿と奥宮で分けているのは、珍しいケースのようです。


○要石

 香取神宮と対をなして、地震を抑えていると言われていまして、鹿島神宮の要石は中央部に凹みがあります。


 鹿島神宮や香取神宮の要石は、男性ならヒョイッと持てそうな程度の石が、チラッと見えるだけですが、侮ってはいけません。


 水戸光圀が、七日七夜にわたって、要石を掘り起こそうとしましたが、掘り起こせなかった話があるぐらい、実際はとても大きい石らしいです。


△御手洗池

 鹿島神宮の御手洗池は冬になると禊が行われるぐらい要所ですし、お水取りができる場所や、食事が可能な売店もあるので、お薦めしたいところですが、急な坂や階段が多く歩く距離もあるために、高齢者や足の悪い人、幼児や体力がない人にはお薦めできません。


 ちなみに、自家用車での参拝なら御手洗池の近くに無料駐車場がありますが、土日になると参拝客が多いですから、車を移動させるのが困難な場合もあります。


 *その他にも本殿の向かいにある仮殿も重要文化財ですし、手水舎の隣にある小さい幾つかのお社も、お力がありそうですから、お参りしておいたほうが良いです。


●息栖神社


○本殿

 昭和35年頃に火災により、1700年代に建てられた本殿が焼失していて建て替えられていますが、良いお社です。


 祭神は岐神くなどのかみであり、厄除招福や交通守護、井戸の神なども兼ねている上に、岐神と一緒に交通の神である天乃鳥船神あめのとりふねのかみや、海運の神である住吉三神なども祀られていまして…。


 鹿島神宮や香取神宮などと比べると、落ち着いたお社ですが、古くからある由緒正しき神社とあって、境内に入ると空気が違う気がしました。


 私の勝手な感覚だと、鹿島神宮や香取神宮を『繋いでいる』のが、この息栖神社だと思っていまして、かなり重要な位置にいる神社だと思います。


忍潮井おしおい

 この周辺の霞ヶ浦がもっと大きくて『香取海』と呼ばれていた頃から、海水を押しのけて湧き続けていることから『潮を退ける』という意味で、忍潮井と呼ばれているようです。


 忍潮井は日本三霊泉の1つですが、井戸は境内にはなくて、息栖神社の境内から出て道路を歩くと、船着き場の近くに2つの鳥居があり、その鳥居の下に井戸があります。


 それぞれ、男瓶・女瓶と別れていて、その井戸を瓶がハッキリ見ることができれば、運が開けるとも言われていますし、男瓶の水を女性が、女瓶の水を男性が飲むと、縁が結ばれると言われていました。


 2つの井戸は飲用不可ですが、境内にお水取りができる場所があり、その水は忍潮井と同じ湧き水であるとのことです。


 *他にも、樹齢1000年の御神木があったり、招霊木おがたまのきがあったりするのですが、文字数の関係で割愛させて下さい。


 境内や駐車場は猫が多いので、猫好きにとっては、たまらない神社かも…。


●香取神宮


○本殿(拝殿)

 本殿や拝殿は1700年代の江戸時代に徳川幕府が造営され、今は重要文化財に指定されていて、祭神は経津主神ふつぬしのかみです。


 漆を基調とした漆黒のお社は必見なのですが、これを執筆している2025年7月現在、本殿や拝殿を含めて改築工事中の場所が多く、工事完了後の景観が楽しみであります。


 香取神宮の参拝作法はごく普通なのですが、境内が広い上に、数多くの末社が境内に散見しているのが特徴です。


○奥宮

 香取神宮の奥宮は、経津主神の荒魂が祀られていて、お社は小さいですが、1973年の伊勢神宮御遷宮の際の材木を再利用していますから、お力が凄まじい気がします。


 鹿島神宮の紹介でも述べた通り、経津主神の荒々しく猛々しい側面を祀っていますが、こちらは普通に参拝して大丈夫なようでして…。


 私の極めて個人的な感覚としては、こちらの奥宮が、いちばんお力がある気がしています。


 奥宮の場所に関しては、本殿から思いっきり外れた場所にありまして、民家が建ち並ぶような場所の道路をひたすら歩くと、ヒッソリとあります。


 奥宮専用の社務所もあって、ここでも御朱印は無論、お守りやお札などが頂けますので、ここが香取神宮にとって、重要視されていることがよく分かります。


 ちなみに、室町時代の剣聖、飯篠長威斎の墓が奥宮のすぐそばにありますが、ここは割愛させて下さい。


○要石

 香取神宮の要石は、鹿島神宮と対をなして地震を抑えていると言われ、石は凹みもなく、つるっとしています。


 ここも、本殿から外れた場所にあって、民家が建ち並ぶような小道を歩くと、突然にあるので見逃さぬようにして下さい。


 要石のすぐ後ろに、小さいお稲荷様のお社があったり、護国神社の分社がありますが、この辺も割愛します…。


 *ちなみに、香取神宮は、境内の奥まで行くと鹿がいたり、源頼義の祈願によって三つ叉になったとされる三本杉や、大きな御神木、前述でも述べた通り、小さい末社などが幾つもあります…。


 全部を回りきるのは大変だと思いますので、気になった場所だけをお参りすると良いかと思います。


 これにて、東国三社参りの詳細は終わります…。

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