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19.30年間放置されたパワーストーン ~その5~ パワーストーンの供養。

 …さて、そんな騒動があった早朝…。


 私の毎朝の日課でありますが、毎朝、神棚の水を取り替えて、蝋燭に火を付けて神棚に手を合わせます。


 そこで何時もの通り、榊の水を交換しようとしたときに、この禍々しいパワーストーンが及ぼした大異変に気付きました。


 … … … … … …。


 神棚から向かって右の榊だけが吃驚するぐらい、異様に枯れているではありませんか!


 右側の榊が枯れるのは、氏神や土地神様が、お力を使うときに右側の榊が枯れやすくなることが多し、この枯れかたは良いとされていますが、一晩で榊が劇的に枯れるのは、それを通り越して異常事態です。


『氏神様が、呪われた石の力を必死に抑えてくれた。』


 私は感謝しきりでした。


 呪詛の力が形を変えたものの、今までよりも弱かったのは、神棚にいる神様のおかげだったかも知れません。


 うちは、1日と15日に、神棚の酒や米を取り替えますが、この状況では色々とあると考えて、米と塩、お酒をすぐに取り替えました。


 無論、この禍々しいパワーストーンを供養した後は、榊を買って交換をしなければいけません。


 神棚のお参りが終わった後、神棚の隣にある吒枳尼真天を祀った棚に、油揚げやお餅を供えて、感謝の気持ちを込めながらご真言を唱えます。


 尸羅婆陀尼黎吽娑婆訶オンシラバッタニリウンソワカ


 それが終わると、今度は実家に行って、線香に火を付けて仏壇に手を合わせます。


 私と妻は朝食を食べた後に、このパワーストーンの供養を受け入れてくれる寺社を探したところ、ウチからだと車で1時間半程度かかる、人形やモノを供養を得意とする神社になりました。


 パワーストーンの供養が可能な寺社の中で、車で普通に行ける距離を考えると、その神社しか選択肢がなかった感じです。


 その後、私は、妻が5歳の娘を幼稚園に送っている間に、塩漬けになったパワーストーンを箱から取り出して、ひたすら水で洗い流したあと、石を丹念に拭いて小箱に入れ直しました。


 浄化や封印の意味を込めて使用した塩や箱は、その日が燃えるゴミの日だったために、塩をビニール袋に入れて、箱もゴミ袋に入れてゴミ集積場へ…。。


 この浄化を試みた塩を何日か家に置いておけば、何か障るような気がしたからです。


 やっぱり、この石がある限り家の中の空気が悪い気もしますし、妻は、気分がすぐれず、明らかに顔を曇らせています。


 この時点で、このパワーストーンを通じて、私に何か悪いモノが憑いていた感じはありましたし、妻も私を見ると、しばらく嫌悪感のようなものを抱いていたので、『』家や会社の中を悪くしている『』であったコトは間違いありません。


 パワーストーンの供養をしてくれる神社には私と妻が行くことにして、弟は仕事もあることから、留守番になりました。



 道中、車の中で、妻から本音を吐かれたのですが、私が嫌になって避けたい気持ちが出てきてしまった事を打ち明けられ、何かあると、苛つくようになった…と、涙ながらに言われました。


 それは、私が色々と忙しすぎて、なかなか家のことが見られない事が原因ではあるのですが、やっぱり、このパワーストーンによる呪いの影響も一因としてあるでしょう。


 この石を見ると、何か無性に苛つくような、そして、このまま不幸のドン底に落ちてしまう感じが常にするから、とても怖くなりました。


 何でもかんでも、こういう心霊現象のせいにするのはよくありません。


 こんな禍々しいモノを打ち砕くほどの強い意志や気持ちがあれば、はね除けられるのでしょうが、相次ぐ不運な出来事や会社の経営難で色々と苦労をした結果、私や妻、それに家族を含めて、何処かで下を向く時間が長くなってしまいました。


 だからこそ、色々な悪いコトが立て続けに起こって、皆に心のスキを隙を作ったことが一番の要因だったと思います。


 できる限り悪い環境を排除して良い環境を作った上で、そんなカルトっぽいコトに頼らない強い意志を持つようになれば、普段通りの穏やかな生活を送れる筈だと私は考えているのです。


 私は、偶然にも少しだけ見える時がありますが、そんなことを、いちいち気に留めていては、生きるのにも苦労してしまいますし、キリがありません。


 しばらく妻と色々な話をして、パワーストーンを供養してくれる神社に着くと、駐車場に入った瞬間から、車中の空気が全く違うのが分かりました。


『ここの神社の空気だけで祓われそうだ…。』


 私は石を小箱に上手く詰めたので、供養料も数千円で済みましたから経済的にもホッとしました。


 神社にパワーストーンを預けた瞬間から、私と妻は全身の力が抜けていまっています。


 一方で、会社の事務所にいた弟は異変を感じ取りました。


 弟は、会社の事務所のPCにてCADの操作していた最中、目の前を黒い影が横切ったと思ったら、断末魔の叫び声のようなものが聞こえて、白い光の中に黒い影が消えていったのが見えたようです…。


 妻も、この事件を切っ掛けにして、私に対する嫌悪感は無くなったと言いますから、やっぱり、これが、相次ぐ不運を招いていた原因の1つであったと思われるのですが、逆に考えれば、夫婦間で車の中で色々とジックリと本音を吐き合ったのは良い契機であったと思います。


 これにて、30年間も放置して禍々しくなったパワーストーンの騒動が終わりましたが、これで全て万事が解決…という訳にはいきませんでした。


 時系列的には、この1~2週間後に呪いの人形騒動が勃発することになります。

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