目次
ブックマーク
応援する
3
コメント
シェア
通報

第9話 「ピンポンダッシュどこに行く?」

俺は今日もブレザーを着て登校だ。

スカートがスースーしてなんとも言えない心地よさがある。

……って俺は変態か!

しかもなんで俺は帰宅部に馴染んでんだよ!

しっかりしろ!俺!


どこにピンポンダッシュしようか…。

いや、ダメだろ!!

迷惑極まりない!!

俺は自分の家にピンポンダッシュして学校へ行った。


放課後、帰宅部の部室。


「さあ、みんな! 今日の帰宅活動の成果を報告しよ〜♡」


風間ルイがカーディガンを翻しながら、部室の中央に立つ。


「まずは、猫山みけ、君から♡」


「にゃっ! はい、報告しますにゃ!」


みけが元気よく手を挙げる。


「今日のターゲットは、近所のパン屋さんだったにゃ。ピンポンしてすぐに逃げたけど、店主のおじさんが出てきて、『あれ? 誰もいないのか…』って首をかしげてたにゃ。ちょっと罪悪感があったけど、楽しかったにゃ!」


「うん♡罪悪感も青春のスパイス♡」


ルイが満足げに頷く。


「次は、山田ゴンザレス♡」


「拙者のターゲットは、学校近くのマンションでござる。ピンポンしてすぐに隠れたが、出てきたのは、なんと担任の先生でござった! 危うく見つかるところだったでござる…」


「おお、それはスリル満点だったね♡」


ルイが拍手を送る。


「さて、次は黒川瑠璃、君の報告を聞かせてくれ!」


「…私は、帰宅途中の住宅街で、偶然見つけた一軒家にピンポンしました。出てきたのは、小さな女の子で、『お姉ちゃん、遊びに来たの?』と聞かれました。罪悪感が募り、すぐに謝って立ち去りました…」


「なるほど〜!心温まるエピソード♡」


ルイが感動した様子で頷く。


「最後に、僕、風間ルイの報告〜♡」


「今日のターゲットは、近所で有名なヤクザの家だったよ〜♡ ピンポンしてすぐに逃げたんだけど、出てきたのは、強面の男性で、『誰だ、こんなことするのは!』と怒鳴っていたんだ〜♡スリル満点だったよ〜♡」


「…ルイ先輩、それはさすがに危険すぎますよ…」


翔太が呆れた様子でツッコミを入れる。


「ふふ♡これも青春の一コマ♡」


ルイが笑顔で返す。


次は俺の番だ。


「俺は、自分の家にピンポンダッシュしました。以上。」


シーン


「……チキってんじゃねーよ。」


風間がボソッと行った。

怖っ。


そして案の定、部長からの手紙があった。


『みんなお疲れ様。ゴンザレス、お題を無視しましたね。今日から罰として制服で登校してね。あと、翔太くん、チキりましたね。僕の家にこればよかったのに。−30点。あとの3人はよかったです。特にルイ。そのまま指詰めたらよかったのに。次のテーマは……「ハイハイで下校してみた」にします。報告会楽しみにしています。』


「部長鬼畜でござる〜!!制服だなんて嫌でござる〜!!」


「部長のためなら指でもなんでも詰めます♡」


こうして、帰宅部のピンポンダッシュ報告会は、今日も賑やかに幕を閉じた。



この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?