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第11話

「者ども、この嘘を吐いた侍女を牢に叩き込め。

欺瞞の罪で処刑せよ!

たとえ四王妃助命を願い出ても、同様に天牢に入れろ。

以後、陸依霜リクイソウの件以外で、朕の耳を煩わせるな。

全員、陸依霜の死の真相究明を最優先とせよ!」


軒轅翊ケンエンヨクは侍女の手を容赦なく踏みつけ、冷然とその場を後にした。


「いやっ! やめてください! 陛下、私は四王妃様の側仕えでございます。

私の言葉は一言一句、偽りございません。

なぜ依霜お嬢様が先に亡くなられたのかは、私にも分かりませんが、どうか調べてください……!

どうか、私をお許しください――!」


侍女は地面にひざまずき、必死に懇願した。

だが、軒轅翊は一度たりとも振り返らなかった。


結局、侍女は衛兵に無情に引きずられていき、その場に血の痕が長く残った。

だが、すぐに掃き清められ、痕跡は何も残らなかった。


それから三日間、軒轅翊は氷の棺のそばから離れなかった。

朝議を除いて、ほとんど一歩も動かなかった。


しかし、三日が経っても、集まったすべての証拠は――

陸依霜の死が、他人の手によるものでないことを示していた。


誰も彼女を傷つけてはいなかった。

――彼女は、自ら命を絶ったのだ。


ただ一つ明らかになったのは、

彼女が装飾品の多くを銀銭に換金し、

火を放つ直前、康海コウカイに多額の銀を託していたということだけだった。


それ以外に、有力な手がかりは何もなかった。


だが軒轅翊は、どうしても違和感を拭えなかった。


――彼女の性格を思えば、自ら火を放つなど、あり得ない。


きっと誰かが手を貸した。

けれど、それ以上はどうしても辿れなかった。


「陸依霜……そんなにも俺を……憎んでいたのか。

それほどまでに……俺のそばにいたくなかったのか。

死をもってして、俺から逃れようとした……」


「許さぬ……!」


氷の棺の前で、彼の声には狂気じみた執着がにじんでいた。


三日間、彼はほとんど眠っていなかった。


そのとき、外の宦官が報告に現れた。


「陛下、魂を呼び戻す《道士》(中国の道教に仕える祈祷師)どうしが参っております」


軒轅翊は驚きとともに立ち上がり、すぐさま呼び入れるよう命じた。


「どんな手段でも構わぬ。陸依霜を連れ戻し、永遠に朕のそばに置くことができるのなら、どれほどの褒美でもくれてやる!」


道士の目が一瞬、喜びに光った。


彼は弟子を従え、庭に祭壇を設け、魂を呼び戻す儀式を始めた。


庭の隅々に呪符が貼られ、風もないのに旗がゆらりと揺れる。


道士は意味不明の経を唱えながら、指に黄色い符を挟み、一枚の符に自らの血を一滴垂らした。

符はたちまち灰となって消えた。


やがて、彼は目を見開いて拱手し、軒轅翊に告げた。


「陛下。依霜お嬢様の魂を呼び戻すことは難しくはありません。

これより七日間、毎日陛下の心臓からの血)を一滴、魂呼びの灯に注ぎ、

生前使っていた品々を供えれば、七日後には魂を連れ戻せましょう」


「しかし……問題は、魂を留め続けることにございます。

無数の宝を用意し、加えて毎日陛下が血を捧げねばなりません。

これは、陛下の身体に大きな損傷を与えることになります」


「それでもなお、天命に逆らわれますか?」


軒轅翊は黙したまま、しばらく言葉を発せなかった。


その時――背後から声が響いた。


「陛下、なりませぬ!」


陸青儀が泣きじゃくりながら駆け込んできた。


「これは、生と死を超える行為です。

妹が……それほどまでの価値が、あるのですか?

彼女はもう、この世にはおりません。

これは彼女が、自ら選んだ結末なのです。どうか……彼女を、解放してあげてください」


「どうか、わたくしと父の罪を償わせたと思って、お納めください……」


彼女は軒轅翊に近づき、そっとその手を取ろうとした。


「陛下……亡き人は、もう戻りません。無理強いはできません。

陛下はこの国の主。もし陛下のお身体が損なわれ、先に倒れられたら――

この国は、大混乱に陥ります。どうか、国と世のためにも、お考えをお改めください……」


「そして……わたくしのためにも……」


「私は、陛下が傷つく姿を、見たくありません。

かつて……わたくしを、最も愛すると……言ってくださったのに……」


最後の言葉は、陸青儀の喉の奥に呑まれた。


だが、軒轅翊の目にはすでに冷たい光が戻っていた。

その垂れた手は、彼女の手を迷いなく避ける。


「陸青儀。お前は今や、ただの四王妃に過ぎぬ」


「お前が侍女をけしかけ、依霜を陥れた件――朕はまだ、罰していない。

その左遷された父と……同じ道を歩みたいのか?」



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