瞬く間に三年が過ぎた。
陸依霜は辺境の地で酒楼を営んでいた。
逞しく日焼けした鍛冶屋が、店員に銀貨の小銭を一枚投げ渡す。
「決まりだ、青花の酒を三合くれ。家の女房が好きなんだ。」
一階で酒を酌み交わす男女たちは、遠慮なくざわめきながら話し合っていた。
「窈娘(ようにゃん)よ、お前の亭主さん、護送の仕事からまだ戻らんのか? 随分経つじゃないか。もう一月近くになるだろ? あれだけ戻らんのは、もしかしたら遭難したんじゃ……?」
「俺が言っておくがな、お前は色白で瑞々しい女だ。顔が天下一品とは言わんが、安定した暮らしを望めば、亭主になりそうな男はいくらでもいる。亭主が年中家を空けてるのに、まったく別の男を探そうとは思わんのか?」
「そうそう、もし本当に何かあったんなら、お前だって支えてくれる者が必要だろう。今みたいな偽りの寡婦暮らしよりはマシだ。」
客たちは冗談めかして言っていたが、内心では本気だった。
座の中心にいた老婆は仲人で、ここ数日、酒楼に通っては酒を飲んでいた。
小役人が窈娘――つまり陸依霜に惚れたと聞き、縁談を進めようとしていたのだ。
陸依霜は思わず顔の変装用の仮面に触れ、それがまだ付いていることを確認して安堵の息をつき、迷いなく断った。
「結構です。私は……」
その言葉が終わらぬうちに、全身を黒ずくめにした大男が入ってきた。
彼の周囲には、ぞっとするような殺気が漂っている。
「無用だ。彼女にはそれが要らん。俺一人で十分だ。」
夜隠(やいん)の声は、その人柄同様に冷たかった。
瞬間、場が水を打ったように静まり返る。
客たちは顔を見合わせながら心の中でつぶやいた。
「こいつ……普段は目立たないし、風貌も普通なのに、なんで今はこんなに目つきが怖いんだ?」
だが、深く考える者はいなかった。
護送の仕事で全国を渡り歩いていれば、戦闘も避けられまい。普通の人間とは気風が違うのも当然だろう。
夜隠は無表情のまま、陸依霜の腰に腕を回して奥の部屋へと進んでいった。
「……ん!」
部屋に入るや否や、彼は抑えきれず呻き声を漏らし、陸依霜に寄りかかるように体重を預けた。
「依霜……痛む。」
今度は彼の本来の声だった。澄み切って冷ややかで、実に良い声だ。
だが、口調や語り口には、どれほど苦しんでいても表に出そうとしない彼の本質がにじんでいた。
陸依霜だけが知っている。
彼の冷徹な態度は、彼のすべてではないことを。
彼女は慌てて彼を抱きしめ、慣れた手つきで衣服を引き裂いた。
何枚もの布が剥がれ落ちていくにつれ、夜隠の鍛え上げられた逞しい腰が露わになっていく。
長らく衣服に包まれていたためか、その肌はわずかに青白く、筋肉の輪郭はくっきりしていた。
だがそこには、新しいものから古いものまで、無数の傷跡が入り組み、目を背けたくなるほど痛々しい。
腹には新しく負った傷が一つ、腰を貫くように走っていた。
皮膚は裂け、肉は反り返り、爛れて膿み、文字通り血肉の塊になっていた。
それを一目見ただけで、陸依霜の目には涙が浮かび、止めようがなかった。
涙は大粒となり、次々と零れ落ちていった。
「夜隠、お前は馬鹿か? 痛いからって薬も使わんの? こんな風に放置して腐らせるなんて……死ぬのがそんなに怖くないのか?」
夜隠は彼女の額を自らの額にそっと押し当て、目を見つめてゆっくりと言った。
「只々……一刻も早く、お前の元へ戻りたかっただけだ。」
その言葉を聞き、陸依霜の涙はいっそう激しく流れ落ちた。
彼女は急いで最上級の薬を取り出し、
蒸留酒で傷口を丁寧に拭った後、薬を塗り、慎重に包帯を巻いた。
彼の全身をくまなく調べ、ほかに傷がないことを確認して、ようやく胸を撫で下ろした。
「私はここでお前を待つよ。逃げたりしない。何せ、私たちの息子もここにいるのだから……そんなに急がなくていい。私たちが望むのは、お前が無事でいてくれることだけよ。」
陸依霜は夜隠を強く抱きしめた。
彼の鼓動がしっかりと伝わってきて、ようやく心が落ち着いた。
夜隠も彼女を抱き返し、慰めるように背中を軽く叩いた。
しばしの温もりを分かち合った後、彼は何かを言いかけてやめ、やがて口を開いた。
それは、二人にとって決して愉快とは言えない言葉だった。
「依霜……奴がお前を探しに来た。……俺は奴から逃れるとき、この重傷を負った。もう任務は受けない。これからは、お前と安安(あんあん)のそばにいて、二人を守り続ける。」