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第41話 銀の剣に龍の背

ガルシドュースの義手が、神術の振動の奥で血肉の振動で真紅に染まっている。

対する骨のような触手の群れは、落下しながら襲ってくるような形であり、全てもが意思を持つ生物の個体のように捩れ曲がり、乱れる蛇のように巻き上がってきた。


 カシャ…カシャカシャカシャッ!


それはまるで、無数の鋼の爪が石を裂く音。殻を持たない部分を庇おうと、魔物は急速に触手を束ね、ガルシドュースがどの角度からでも攻めらないように回転しながら、攻撃の姿勢で襲いかかってくる。そんな音がした。



 「わぁ!」


 ガルシドュースの猛烈なる連打がそれを圧倒する。

 血葬棘衝を何発も打ち込んでいた、至近距離で、腕を変形させたり、伸ばしたりもせずに。


近いて見るとわかる、ガルシドュースは肉の芽を伸ばしては切り、切り分けたそれを儀式の材料として扱っている。

生きているもの、つまり体繋がっている時に比べて威力は弱いが、その分、彼の再生力を用いた数に合わさって十分な威力の連打を成し得る。



しかし未だに奥深くあるそれは、本体。

ガルシドュースの記憶にある品体は見え得ていない。

太陽の光の真下にある宝石や真珠のように輝きを放つ、帆立のような本体が未だに出てこない。

 (反応……できているか!)


 セオリクはそれを悟る。

自分の本体の時間を直接操作している。

時間を負け戻しているということは、当然、ガルシドュースのような再生を頼りに攻撃をしている間隔よりは遥かに速く。

ガルシドュースの一撃が到達するだけに時間を戻すのには充分だった。


 「おおおおお……!」

(一撃でダメなら!)

 ガルシドュースが両手をさらに殴りかかる。

今度は振動の反動を利用して手を戻す速さも速めるように操作をする。火の神術を用いて体を限界まで動くようにする。

そうやってさらに高めることで、体内には反動などもあり、蓄積した力を暴れさせる。

危険な行為であった。

神術がもはや暴発寸前まで膨らんで、時間操作のわずかな隙を突くにはもう時間がない。



(しかし今やらないと地上に戻されると機会もない、獣であっても魔獣の知性は!)

 ゴッッ!!!

ついにガルシドュースは義手にまだ少しある腕も儀式に使っては技を撃ち放った。

 「ミルグドラス=マカエル!!!(血葬棘衝)」


肉の芽が散り散りになり、星々ほどの数になっては、爆ぜて、そうしていくうちに瞬く光っては燃え出した。

血葬棘衝なる魔の儀式と神術を組み合せて得た技はあたりを火の海に変えていく。

さらに燃え滓ですら遠くで燃え続けるほどに、触れたもの全てを燃やしてしまう恐怖の威力。

余った威力でこれだけの物。

直撃すればただでは済まない。

魔物もそのはず


 そんな刹那、魔物の内部──殻の奥の、柔らかい肉質が露わになった。


 「ッ!!!」


 ガルシドュースが目を見開くと同時に、肉の芽で結ばれる義手が突き入れられる。

 だが──


 ガシュウウウウウッ!!


殻の内側から、骨状の触手が分岐して小さな棘が咄嗟に生え、義手を引っ張りガルシドュースの肩口までそれを絡め取る。


罠だった。

 重力のない空間を落下方向へと引きずり込む。

落ちる、両者は形勢が逆転されている。

誰が見てもそうだ。


 「ぐ……ッ、これは……っ!」

 (友よ!)


 セオリクは即座に動く。

全力で力を駆使した。

しかし何の役に立つと言うのだ。

空中にいるガルシドュースにとって、神術で身を包んだガルシドュースにとって何の意味もないのでは。




 グワアアアアアアア……!



違った。


(それでいい!)



ガルシドュースが連打により吹き飛んだ散り散りの肉体の破片、灰になったほど砕けたそれらを、セオリクの力があまりにも塔内を動かして、一箇所に寄せ集め始めた。

 セオリクは足をすくわれ、壁に叩きつけられ息も絶え絶えになる。

暫くして、風が止んだ。

否、灰たちができた小さな壁に狭まれてそして、気流を変化させていた。

灰の壁の端では燃えることもあり、気流を狭める力はますばかり。

「これでいい。」



「これだ、燃えろ!発動しろ!」


遠い遠い、場所にある灰たちが爆ぜる。

気流を遮ることでできた対立する気流があったからだった。

これにより、ガルシドュースが火の神術を加えてさらに大爆発、気流が無数に出来上がり、対局する。結果として猛烈な旋風が巻き起こり、空中にいたガルシドュースと魔物を地上に吸い寄せていく。



 (これが罠だ、隙を見せるとか、仲間に手伝ってもらうなんてもんじゃない!)


 「ギィ!」

本体がいきなりの変化により落ちた。

本来ならば落ちない。

しかし攻めるために外殻を変化させたのが仇となった。

攻撃体制で殻を絞り、長く伸ばして巻きつけた故に、やつを固く止めるような形ではなくなっていたからだ。

斬。



両者共に譲らない。

ガルシドュースは義手を変形させて剣をあらわにする。外殻部分を飛ばして、触手を交わす。

貝ももちろん触手を必死に伸ばす。落ちようとする自分を止めて、また体を変化させるつもりだ。



そうしてガルシドュースの方でも大爆発が起きた。




やがて貝殻は地上に落ちて、何か蠢く。


誰だ。勝ったのは誰だ!?

誰なんだ!?

「もちろんこの俺だ!勝者は俺だ!解体完了!」

言うと共に左足を半歩前に、右足を大地へ深く沈める。背筋は弓のようにしなり、右腕をゆるやかに持ち上がては、肘を折り、掌を天へと晒す、まるで天に座す雷を掴み取るかのように。

姿勢から筋肉の束が鎖のように絡み合って盛り上がる。

そうしてからガルシドュースは急に口に手を当てたと、そして何かを口に入れた。

「アム、ミュウ、むにょ、ゴリ。ガッ。」

咀嚼音、鳴り響く咀嚼音。その元は。


 光輝く白い物体、柔らかくて、光沢を持つ見た目。

魔物だ。

先ほどの貝の魔物だ。


「う、うん、うみゃ、ほ。」

 ゴク


「...ふぅ...上手に焼けましたー、てな。」

上機嫌で上質な肉を上からだべてよかったと思っているガルシドュース。

(しかし、この記憶、貝に上下なんてあったのか?)


 「...お〜い、ガルシドュースよ!ガルシドュースではないか!」

「ん、お、ぜろりく、おべえもぐうぁ?肉、魔物のだけどよ。」

「気持ちは有り難く頂戴致す。」

「ほか。」


熱い肉だ。分厚い肉をしていて、殻に比べて小さくても、ガルシドュースの胴体ほどの大きさはある。

炙りでた汁が手のひらを伝い、地面にポタポタと慣れ落ちる。

熱さに顔をしかめず、続け様に食す。


またひと噛みで、中から濃い旨みとわずかな苦みが弾けた。


続けてきた味は塩気と甘みだ。それが絶え間なく舌に広がり、喉を通る頃には鼻から温い潮の香りが抜けていった。その繰り返し。食感はと言うと弾力があって。歯が沈み込み、ぷつりと切れる感触。奥歯で噛むごとに、熱い汁がじゅわりとあふれ、舌の裏まで濡らしていく。

大きくあって両手で掴まないといけないから、噛んでなくても、身の弾力わかってくる。

(食べてると喉の奥がじんわりと暖かい気分になる。)


四つ目、五つ目……。

手は汁でぬめり、指の間まで温かい液体の香りが染み込んでいく。


 ただ、掴み、割り、食らい、飲み込む——その繰り返しが止まない。

 気付けば完食。


 そう食べて、ガルシドュースの腕を見ると再生をしていた。肩から肉が全てなっていたはずで、義手も破片を飛ばしたせいで、何も場所にまた肉体が出来始める。

もう剣の刃しか残ってないのが、再生をしている。

義手とか肉の芽だけじゃなく全て、骨から筋肉までもがある腕だ。

再生している。

(魔物の力...食べたからか?)


ガルシドュースの腕は、まるで生き物のように蠢きながら再構築されていた。

 骨の芯がまず生え、白く鋭い形を作る。そこへ赤黒く濃い筋肉が絡みつき、全て束ねられるように盛り上がる。その間にも、魔物の肉から捕食した力が全身を駆け巡っていく。


 次の瞬間、彼に腕が生え始めたと思えば、肩辺りが血肉を無数の棘ような肩へとそれを分裂させ、束となって伸びて、地上にある殻に突き刺さった。


「なっ...!」

何度連打しても傷すらつかない殻が一撃で大穴を開いた。

  「こいつをこうも簡単に破れるなんて...この...

ガルバゴウグを、殻の王なるものを、甲殻なる王を、我は打ち滅ぼさんと。」


 「ガルシドュース...?」


何か決めたような顔で急に情緒が昂ったガルシドュースを見てセオリクも思わずに疑問を口にする。


「ごめん、行こう、謎は解けたはずだ。おそらくもう歩ける。」


無限に広がる回廊を抜ける。

(意外に短いな。)


その時だ。

 ――ズズズズッ……

 足元の砂が蠢き、次の瞬間、前方の岩棚から黒い波が崩れ落ちてきた。


「また水か!?落ちた!?」


水ではない。波でもない。

 巨大な貝が殻を引き裂いて無数の触手を伸ばしてくる。

ガルシドュースが言っていた、ガルバゴウグという名の魔物だ。先ほどのより幾ばくか小さくある魔物たちが、雪崩のように押し寄せてくるのだ。

 その数、数十……いや、視界の奥にもまだうごめく影が見える。


 「ハバび!?」

驚いて奇声を上げるガルシドュース。


先頭の一体が触手を振り下ろした瞬間、地面が割れ、礫が飛び散る。

反射的にセオリクが後退するが、後方も砂煙が上がって塞がれた。

(地面から這い出ている!!)


 逃げ道はない。


 「ほ!いつのまに!?」


驚きを隠せないでいたガルシドュースだが、反撃の準備は少しも歪めていない。

背には赤黒い紋様が走り、血管が浮き上がる。

皮膚がポツポツと変形して、鱗のように盛り上がっていく。

背中は広がり、脊椎の骨の突起が背骨に沿って伸び、肩の骨が斜め横状に伸びては龍の角のような形に変形する。


そして腕が伸び、全身を巻き付けた。

「装甲形態!」

記憶の魔法などからではなく、ガルシドュース本人の感性による初の技が完成された。

次の瞬間、彼は矢の如しに突進をする。


 貝の魔物であるガルバゴウグから学んだ技と言うべきだろうか。似ていた。見た目こそ違えど、鎧を纏って突き進んでいくという単純な攻撃ではあった。


「うぉおおおおあ!」


叫びと共にガルシドュースが伸ばした左腕は全身を完全に隠して、その奥から神術の火の音がする。

巻きつけたものに赤い筋が浮かび上がり、まるで血液が煮えたぎるようで脈打つ感覚がする。

脈の感覚はまるで左腕から肩、そして背へと奔り、最後に赤黒い奔流が全身を覆っていくようだった。


皮膚はさらに盛り上がり、硬質化する。黒鉄のような装甲が形成され、その隙間からは溶鉱炉の中のような赤い火の光が漏れる。背骨の突起は棘状に枝分かれして、魔龍のような角に近い形になる。。

胸郭を覆う骨はもはや一枚一枚繋がっているものに変わり、騎士鎧のような、人工物が持つ、板状の骨質に変化して、さらには、その外を覆う皮膚が硬質化をする。

腕は炎の流れをそのまま固めたかのように太く、拳を握るたびに内部で火花が爆ぜ、鈍い衝撃音が響く。

脚部は巻きつけられた腕の筋肉や骨などで出来た鞭状のようなもので覆われていて、龍の後肢を思わせる関節に変化して、爪先には黒い刃のような爪が形成される。地面を踏みしめるたび、焦げた亀裂が大地に走った。


最後に、炎は顔で大きく猛りを見せる。

顎から頬にかけて火と共に皮膚は盛り上がり、黒い装甲が伴ってせり上がり、両目は灼けた金属のような光を放っていた。


 「きしゃあああ!」


そんな奇怪な雄叫びをする生き物にガルバゴウグたちは反撃に出る。

直撃しない反撃だった。

一斉に殻をガラガラと地面に叩きつけて、あたりの環境が歪んでいく。


 そして何やら人影らしき存在たちがワラワラと出てくる。


 傭兵のような装束の存在たちだ。

貝の魔物たちに戻されてしまったんだろう。

だがガルシドュースにとってはどうでも良かった。

猛速で突き抜いて、全てを引き潰していく。


 「うわああ!」

絶叫、惨状、烈火。


轟音と共に、大地で悲鳴が上がった。


 黒曜色の装甲を纏ったようなガルシドュースが、突進の勢いを緩めることなく群れの奥深くへと食い込んでいく。

傭兵ごとそれら全てを引き潰していく。

ある時、ぶつかったガルバゴウグは、殻ごと粉砕され、破片になってが空中で舞い。

飛び散った破片は炎に包まれ、灰に変わる。


 「どけぇえええええッ!」



怒号に伴うのは、振り抜かれた拳で、剛力に炎の奔流を纏いながら三体の魔物を同時に吹き飛ばした。

殻が破裂する衝撃音が連続し、耳をつんざきたくなるような音。右足がしっかりと踏み込まれていて、爪が地面をえぐる。足元には焦げた亀裂が大きく広がり、立っているだけで熱波が押し寄せてきくる。


 「セオリク! 乗れ!」


 叫びながら、ガルシドュースは振り返らない。

背に伸びた棘状の骨突起が左右に振り払われ、迫る触手を片っ端から粉砕していく。

セオリクは転んで滑りながらやがてガルシドュース目の前にして空中に滑るようにして、奇怪に跳ねた。誰が見ても不思議だった。


「おお、セルバーブには幾度も乗っていたが、なんたる蛮勇!」


 蛮勇の化身たらしめるガルシドュースを目にしてガルバゴウグの群れは未だに怯まない。

まるで何かに支配されて、命令されて、操られているように、何かを守っているかのようだった。


 ゾゾゾ


前後左右から触手が伸び、鎌のような棘がガルシドュースの装甲を削る。

 しかし削れた部分からはすぐさま炎が噴き出し、焦げた匂いと共に裂け目を塞ぐ。




 「まだまだァ!」


 膝を深く沈め、腰をひねる。

 次の瞬間、地面ごと持ち上げるような上段打ち下ろしが放たれ、十数体の魔物がまとめて押し潰された。

 炎と衝撃で砂と肉片が舞い上がり、視界は真っ赤に染まる。


 その隙間から、一際大きな影が迫る。

 巨大なガルバゴウグだ。

 殻は黒曜石のように硬質で、表面には赤く脈打つ線が走っている。

 それが跳躍し、殻の縁をに刃のように尖らせた腕先をガルシドュースは叩きつける。


 腕で無理矢理殻の隙間に詰め寄りこじ開けようとする。人の毛穴よりも小さくあるその隙をついて、直線状にガルシドュースは切り裂く。


轟音と共に魔物の殻が陥没し、亀裂から火が吹き上がった。

余力で周囲の砂が吹き飛び、さらに炎の竜巻までが巻き起こる。


 ――その瞬間、ガルシドュースの装甲がさらに変化した。

 背の棘に小さな穴ができてそこから火が吹く。


 火と共に、殴撃が放たれた。

 音が遅れて響くほどの速度。

 殻の王の外殻が、内側から爆ぜるように砕け散った。

 中から溢れ出た真珠色の肉が炎に包まれ、空へ舞い上がる。


全ての敵が一斉に悲鳴を上げ、後退を始めた。


中にまだ抵抗か錯乱して狂乱したか、むやみやたらと神術や矢を放つものはいた。

しかしガルシドュースはそれを弾き飛ばしながら近いては、それだけで通る道全ての存在が粉砕する。


 「...この!この!鷲の団ンンンンの団長がッッ!」

全てが無抵抗に消える。


 「こんなにいるなんて、どうやれば無限に生きているあいつらを消せるんだ!」


 「落ち着き、うっ〜落ち着きたまえ、ガルシドュースよ〜今は出口を見るんだ、すでに上への道は其の場いると。」


 「セオリク!」

「ふざけてないでくれ!なんだその喋り!」

「揺れるんだよ」

 「あっ」

「...ごめん。」

そう言いってガルシドュースは炎を強める。先ほどから気流を変化して防壁さえ作れば、高速移動で起きた突風も防げたからセオリクは大丈夫と考えいたようだった。


しかしやはり身体の違いによりそううまくはいかず、結局はさらに、資源を防御に移すことになった。

「それで出口って?!」

 「あそこを見たまえ!」


「...くっ、案外遠いい!。」

(普段なら一飛びだが、時間を戻せる化け物に不死身の化け物。うまく飛べないし、セオリクをその中で庇いきれない。)


「ガルシドュース!ガルシドュース!」

タタ、とセオリクがガルシドュースの背を叩く。


「なっ」

(地面が裏返った!?、空が遠い場所に。)

違う、違うんだガルシドュースと誰しもが言いたくなる。

それはお前が倒れて転んでいる最中だからだ。



 「行くぞ!ガルシドュース!」

(どうして、転んで!?)

セオリクがガルシドュースの足元にあの転ばせる力をかけていたからだ。

神術を持ち個体にそれが効かないのはすでにわかりきっていたが、命ないものに、言わずもして、効果甚大というか。


 セオリクの力で地面が勝手に動いて、あたりの地面を抉っては、土を上げるようにして、掘り返すようにして、二人は突き進んでいく。

「忘れたかッッ!我は騎士ぞ!」

 「無茶だ!」

「さすれば死を受け入れよ、命あるもの全てにして死はある。」

 「決意だかどうか知らん!お前!適当なこと言えばうまくいけると思ってんのか!?」

言いながらもガルシドュースはセオリクの動きに合わせて回転して、速度を高めていた。

本能的に最善を尽くそうとしていただろうか。


 「龍よ!貴公は龍を信奉するものならば、龍であれ。なぜならば、我騎士がその人!我が名はガレヌ・フォデ・グリオス・セクリオ・ド・ラングシェ。子爵が三女に騎士の名誉を受けし、栄光なる、ゲ・ドリガ・ガダズバ・ラングゾル・ゴリヤ・メリガジバズグンド四世子爵が五男坊!死をも恐れん!」

 (そんなに名乗ってどうする!?こういうのは嫌だ!いいってやろうか!?そんな人間乗り切らないって!ふざけてやろうか!?俺も。)


 「しゃあ!こうなったらやってやる!乗り込むのがうまいつもりか!騎士!なら龍騎兵をなってもらう!」


「むっ承知せんと。」

 「よし!お前にかけた!お前がそうやって背中かた俺を追い詰めるんだから!」


 「死ぬなよ、怯えるな!また前みたく飛ぶぞ!」


「きしゃー!」と怪音鳴り響く。

そんな怪音を鳴り響かせるのは魔物や傭兵、こんなやつらの中でガルシドュースは回転の勢いを殺さず、邪魔する奴らだけ蹴散らし、蹂躙していく。


 「死を恐れるなかれではあるが、高速で飛ぶには」



ビューン


セオリクの言葉も虚しく、ガルシドュースも勝手に跳躍して空を滑空していく。



「龍騎兵!」

「りゅうきへいはなんぞ!?」


 「遠距離だよ遠距離!俺が伸ばしたやつを飛ばせるようにしろ!いくぞ!」

 言われて見ると。

あるのは一つの銀の剣だった。




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