コンペ決着、輝く「絆の連携」
張り詰めていたコンペ会場の空気が、ミサキのプレゼンテーションが終わり、私とリョウの「絆の連携作戦」のプレゼンテーションが始まると、一変した。
私の情熱的な語り口と、リョウの堅実なデータが織りなすプレゼンは、聴衆の心を掴んで離さない。
私たちは、ミサキが仕掛けた情報操作の罠をどう見破り、その欠陥を逆手に取って企画をより強固にしたかを、具体的な数字と感動的なエピソードを交えて説明した。
さらに、ミサキの「褒め殺し」に対し、いかに私たちのチームが「細部」と「全体像」の両方を完璧に仕上げてきたかを、鮮やかなビジュアルと共に提示した。
「この企画は、単なるイベントではありません。私たちは、困難に直面した時、『つながり』と『信頼』の力がいかに強靭であるかを、この企画を通して、皆様に体験していただきたいのです!」
私が力強く締めくくると、リョウが静かに立ち上がり、会場全体を見渡した。
リョウの視線には、揺るぎない自信と、私への深い信頼が宿っていた。
会場が割れんばかりの拍手に包まれ、静寂が訪れた後、審査員たちが活発な議論を始めた。
私とリョウは、壇上で静かにその様子を見守る。
壇下では、ミサキが顔を歪め、悔しさを露わにしていた。
ミサキの視線は、まるで憎悪の塊のように私たちに突き刺さる。
しばらくして、審査委員長がゆっくりと立ち上がった。
会場の視線が一点に集まる。
「それでは、ただいまより、今回のイベント企画コンペの審査結果を発表いたします」
審査委員長の声が、厳かに響き渡る。
私の心臓が、ドクドクと大きく脈打つのを感じた。
隣のリョウも、わずかに表情を引き締めている。
「厳正なる審査の結果、今回のイベント企画コンペは──」
委員長の声が、一瞬途切れる。その間が、永遠のように長く感じられた。
「スターライト企画、ハルカ・リョウチームの企画、『絆の連携作戦 - Connect & Create』が、最も高い評価を得ました!」
その瞬間、会議室は再び大きな拍手と、歓喜の声に包まれた。
「やった……!」
私は、思わずリョウの顔を見た。
リョウは小さく、だが深く頷き、その表情に安堵と、かすかな笑みを浮かべていた。
二人の間に、確かな勝利の喜びが満ちる。
壇下では、ミサキが顔を真っ赤にして立ち尽くしていた。
完璧だったはずの笑顔は完全に消え失せ、瞳には明確な怒りと屈辱の色が浮かんでいる。
ミサキの視線が、一瞬、私ではなくリョウの背中を射抜いたような気がした。
審査委員長は、壇上の私とリョウに向かって温かい眼差しを向けた。
「この企画は、単なるイベントの枠を超え、現代社会に最も必要な『つながり』の価値を、体験を通じて伝える素晴らしいものでした。特に、困難を乗り越えて練り上げられたという背景が、企画の説得力をさらに高めています。まさに、スターライト企画の新たな時代を象徴する企画となるでしょう」
委員長の言葉に、私は胸が熱くなるのを感じた。自分たちの経験が、そのまま企画の力になったのだ。
新たな局面、そしてミサキの影。
プレゼンを終え、会場から退出すると、スターライト企画の他の社員たちが駆け寄ってきた。
「ハルカさん、リョウさん、やりましたね!」
「本当に感動しました! 最高のプレゼンでした!」
ユウトも、にこやかに二人の肩を叩いた。
「いやぁ、まさかここまでとはね。ミサキさんも真っ青だったよ。これで、スターライト企画も大きく変わるだろうね」
私は、支えてくれた仲間たちの顔を見渡し、感謝の気持ちでいっぱいになった。
彼らの協力なくして、この勝利はあり得なかった。
「みんな、本当にありがとう! みんなのおかげです!」
リョウも、珍しく表情を緩め、周囲の祝福に応えていた。
リョウの視線が、ふと私に向けられる。
「だが、これで終わりじゃない。むしろ、これからが、この企画を実現するための本当の戦いだ。」
リョウの言葉に、私は改めて気を引き締めた。
確かに、コンペは勝利した。
しかし、ここからが、この壮大な企画を成功させるための、本当の挑戦の始まりなのだ。
「ええ! やりましょう、リョウさん!」
私の瞳は、未来への期待と、新たな挑戦への決意に満ちて、キラキラと輝いていた。
大型イベントの実現という、巨大な目標が、私たちの目の前に大きく広がっている。
そして、その道のりには、予想もしない新たな困難や、ミサキからの、これまで以上の執拗な妨害も待ち受けているだろう。
しかし、私とリョウ、
そして彼らを取り巻く「絆の連携」は、どんな壁も乗り越えられるはずだ。
(つづく)