裁定の結果、グロリハレル伯爵家には多額の罰金と爵位の返上が言い渡された。
父は何度も、「これは誤解だ」「娘が勝手に」と弁明を試みたが、いずれも記録と誓約書により退けられた。
伯爵邸と領地は差し押さえとなり、父とレナは、王都郊外の小さな家に移り住むこととなる。
塀に囲まれたその家はカリヨンが購入した。
生活に最低限困らぬよう、最低限の支援と使用人を手配してあった。
父はそこで、かつての「栄光」を独り言で話すだけの日々を送る。聞く者はいない。だが彼自身は満ち足りているようだった。
レナがどうなったかは、ここでは詳しく語らない。
禁忌成分をたっぷり含んだ美顔剤を自ら試したレナ……。
小さな家には、ひとつも鏡がなかった。
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