今回は多少大人な展開が話の都合上入ってきます。
苦手な方はブラウザバックを推奨します。
◇
翌日、アイオワの前部甲板上。
俺が引き取った女の子たちがその上で楽しそうに遊んでいた。
ミラはまだ眠いのか、まだぐっすりと眠っている。
「何だか平和な光景ね、見ているこちらも思わず笑ってしまうわ」
「俺もそう思う。とにかく元気そうで良かったよ」
昨日、アイオワにやってきた彼女らはまずは艦内の食堂でご飯を振る舞われた。
彼女たちは目を輝かせながらご飯を見ていて、遂には我慢できなくなったのかかじりついた。
そんなに食べて大丈夫かと思うぐらい食べていたが、それだけ食べてようやく満足したようだ。
今は朝食を終え、アイオワの乗員たちが彼女たちと一緒に遊んでくれている。
……さて、俺は用事をこなしに行くとしますか。
俺はアイオワの艦長席から立ち上がり、艦橋を離れようと階段に向かう。
「あ、ルフレイだ」
そんな声が聞こえ、俺は足元を見る。
するとそこにはいつの間にか起きていたミラが立っていた。
彼女は猫らしくスルスルと俺の肩をよじ登り、背中にストンと収まる。
「あ、こら。今から少し出かけてくるからみんなと遊んでいなさい」
俺はそう言ってミラを肩から下ろそうとする。
だが頑なに彼女は肩から降りようとはしなかった。
困ったなぁ……と思っている俺にイズンが言う。
「まぁ良いじゃない。ミラは今まで寂しい思いをしていたんだし、ようやく安心できる人が見つかって喜んでいるのよ」
ねー、と言いながらイズンはミラの頭を撫でる。
ミラはそれが嬉しそうに耳をぴょこぴょこと動かしていた。
そんな彼女たちを俺は微笑ましく思った。
そうそう、昨日帰ってから気づいたんだが、ミラはイズンに対しても敵対心を見せないようだ。
オリビアは駄目だったが、アイオワの乗組員たちは俺たちと同じくミラが敵対心を見せない。
これは俺や乗員、そして俺がイズンという神と近い関係を持っているからなのではないかと思っている。
まぁそんなことは置いておいて、確かにミラは今まで寂しい思いをしてきたんだし、今はそばにいてやったほうが良いのかもしれないな。
そう思った俺は彼女を肩車したまま階段を降りていく。
俺が最上甲板へと出ると、それに気がついた女の子たちがこちらへと駆け寄ってくる。
彼女たちにもみくちゃにされながら、俺は何とか彼女たちを落ち着かせる。
そんな様子をオリビアが見ていることに気がついた。
「やぁオリビア、今から少し出かけるんだが付いてくるかい?」
「いえ御主人様、私はこの子達の世話をしておきます」
おかしいな、オリビアならば絶対についてくるといいそうなものなのに。
まぁ彼女も子どもたちと触れ合って何か心に来るものがあったのかもしれないな。
俺はオリビアに手を振って言う。
「ではちょっと行ってくるから、その間子どもたちをよろしくね!」
「お任せください御主人様、行ってらっしゃいませ」
俺はそのまま後部甲板へと向かう。
そこには昨日と同じくローターを回転させたMH-60Rが駐機している。
俺は首が飛ばないように頭を下げた状態でそれに乗り込んだ。
だが今回向かうのは昨日のような広場ではない。
俺を乗せたMH-60Rは空中で何かを待つように待機している。
すると隣に停泊していた強襲揚陸艦アメリカから4機のMH-60Rがクラーケンの眼球を抱えて飛び立った。
そう、今日はこの前に入手したクラーケンの目ン玉をギルドにでも寄付しようかと思ったのだ。
というのも、あまりにも目が大きすぎてアメリカからF-35Bが発艦できないと文句が出たためである。
そこで在庫処分とは言わないが、イーデ獣王国へと押し付け……寄付しようということになった。
事前にギルドの場所は確認済みであったため、MH-60Rの編隊はそこに向かって飛んでいく。
ギルド上空に到達した先行の4機はゆっくりと高度を下げ、地面にふわりとクラーケンの眼球を置いた。
そのままつながっているロープを切り、優雅に母艦へと帰っていく。
それを確認した俺の乗っているMH-60Rは眼球が置かれている横へと着陸した。
俺とイズンは頭を下げながらヘリを降り、安全な場所まで移動する。
俺たちが移動し終えたことを確認したMH-60Rはそのまま母艦へと帰っていった。
「この眼球を室内には入れれないでしょう? 私がこれを見ておくからあなたは職員を呼んできて頂戴」
「本当か? 助かるよ。では行ってくる。さて、ギルドの職員は何と思うことやら」
俺はそう思いながらギルドの扉を開ける。
このギルドもまた他の場所のものと同じく冒険者たちで賑わっていた。
俺は律儀に列に並び、自分の順番が来るのを待った。
「次の方どうぞー」
俺の順番が回ってき、とりあえず外に来てほしいと俺は受付嬢に話す。
だが受付嬢は俺の言動を訝しんだ。
だがとりあえず冒険者カードを出すように言われたので出したら、急に彼女の態度が変わった。
「と、特S級の方でしたかー、すぐに伺いますね」
そう言って受付嬢は俺よりも先に建物の外へと出ていった。
俺も彼女の後を追って外へと出た。
するとそこには思いがけない光景が広がっていた。
「うぉぉぉぉ!!!! 美しい、美しすぎるっ! 私と一緒に冒険してくださいっ!」
外に出てみると、なんだかイケメンの冒険者らしき男がイズンのまえに膝をついて座り、手を差し伸べてた。
一方のイズンは何だか困った顔でその男を見ていた。
何故か装備をフルで展開していたイズンは、俺を見かけると困ったように話しかけてくる。
「ねぇルフレイ、私今困っているんだけどどうしたら良い?」
「……さぁ?」
「『さぁ?』じゃないわよ、ちゃんと助けて頂戴」
イズンは呆れた顔で男を見ながら、俺に助けを懇願してくる。
すると男は俺の存在に気が付いたのか俺の方を振り向き、すっくと立ちあがる。
そしてそのまま俺の方へと歩み寄ってきた。
「こんにちは、彼女の知り合いの方ですか?」
「知り合い、まぁ知り合いと言えば知り合いだが……」
「そうですか。私の名はジャック、以後お見知りおきを」
そう言って彼は手を胸に当てて礼をする。
頭を上げた後、彼は俺の方をじっと見てきた。
俺が頭を捻ると、彼はくすっと笑って俺に言う。
「急な話で申し訳無いのですが、イレーナさんをいただきますね」
「……は?」
俺はあまりにもぶっ飛んだ話に開いた口が塞がらなかった。
だがジャックは何とも思っていないのか、右手で前髪をさらっと掻き上げる。
何をカッコつけて……と思っていると、彼は自信あり気に話し始めた。
「私はパーティー『美の巨人』のリーダーを務めており、今回イレーナさんは私のパーティーに入るだけの素質があると見て勧誘したまでです。これは名誉なことなんですよ!」
「し・ら・ん・が・な」
俺は思わずそう言ってしまった。
あまりにも横柄で自分が一番だと思っているこいつが何だか許せなかった。
誰がこいつについていくんだ……と思っていると、何だが後ろの方で黄色い声が聞こえてくる。
「キャ〜!! ジャック様素敵〜!!」
「こっち向いて〜!」
そういう女戦士らしい2人がいた。
顔は確かに整っているが、悪いがイズンには遠く及ばないだろう。
それに何だがジャックにホイホイ付いていきそうな頭してそうだなぁ……と思った。
「それにあなた、彼女とパーティーを組んでいると言いますが、狩りは全部彼女にやらせて自分がいいところだけを吸い取っているんじゃないですか!?」
「……なんでそう思った?」
「証拠にほら、あんなに証明部位大きな物を狩ってきているというのに彼女は外で待たせてあなたは報告に行くだけ。それにあなたは装備すら身に着けていないじゃないですか! それでどう戦ったというのです?」
なんて勝手な妄想なのだろう。
だが実際に俺が倒したわけではなく、バージニアのMk.50が倒したので何とも言えないが……
まぁとにかくこんなやつは放っておこう。
「イレーナ、こんなやつは放っておいてさっさと目ん玉の査定をしてもらおうか」
「勿論そのつもりよ。ごめんなさいね、えぇと……チャックさんでしたっけ? 私にはルフレイがいますしあなたには一切の興味がありませんので」
「ガーン! そんなぁ……あとジャックです……そんなズボンについていそうな名前ではありません」
これでジャックも懲りただろう。
あんなに言われておいてまだ立ち上がろうとするほどのやつではあるまい。
……と思っていたのだが、急に背中のミラがひょこっと顔を出して言った。
「オジサン、そんなにイレーナさんがほしいならルフレイと勝負すればいいじゃん。まぁどうせ勝てないだろうけどね」
「なんですって……って黒猫、悪魔だぁ! ……でもよく見ると可愛い」
そう言うジャックの目つきにミラはブルッと震え、再び背中に隠れてしまった。
だが彼はミラの言葉から何かを思いついたようだった。
彼はニヤッと笑った後、俺に向かって言い放つ。
「いいアイデアです! S級冒険者の私があなたを群衆の前でボコボコにしてあげましょう! そしてあなたに買った時にはあなたの目の前でイレーナさんをグチャグチャに犯してあげますよ! 私はこの国の王と仲がいいんです、王も観客として呼びましょうか。場所はコロッセオでペチャクチャペチャクチャ……」
ジャックは1人でダラダラと喋り続ける。
俺とイズンはもはや聞く気も失せてため息を付いていた。
一通り1人で喋り終えた後、彼は俺の方を見て言う。
「では明日コロッセオで、絶対に逃げるんじゃないんだぞ! 逃げたらイレーナを公衆にも穴として使わせせますからね!」
そう言ってジャックは俺達の前を去った。
にしてもあいつの言い方は何ともイライラさせられるものである。
公衆に穴として使わせる……聞き捨てならない言葉であった。
「野郎……本気でぶっ殺してやろうか」
「ちょっと、あまり怒り過ぎちゃ駄目よ。それにあなたにあの男が勝てるはずもないでしょう?」
「それはそうなんだが、どうもイラッときてな。結局あの男はイレーナ、君のことをステータスだとしか思っていないのだろう。もしも大切にしたいのであればあんな言葉は出てこないはずだ」
俺は珍しいことに激しい怒りを覚えていた。
そんな俺の横顔をイズンは少し意外そうに見る。
その後、彼女はフッと笑っていった。
「そんなにも私のことを考えてくれているのね? 意外だわ」
「あぁ、イレーナ。君のことはとても大事に思っている」
俺の返事を予想していなかったのかイズンは顔を一瞬赤らめた。
その後彼女は俺の肩をぽんぽんと叩く。
そして最後に彼女はこう言った。
「じゃあボコボコにやっつけて、私にかっこいいところを見せてちょうだいね」
「……そうだな」
その後、俺たちは元の目的通りクラーケンの眼球をギルド職員に預けた。
鑑定には少し時間がかかると言われたが、もともと大鳳達を待っているので時間には余裕がある。
俺は了承し、その場を後にした。
◇
パンッパンッパンッ……
「はぁ、苛つく……あの男は一体何なんだ」
夜の宿屋、ジャックは連れの1人と体を重ねていた。
相手の女性は幸せそうにジャックの顔を眺めている。
だが彼はそんな中でもイライラしていた。
「良いッじゃないッですかッジャック様ッ♡私たちがッいるッのッですからッ♡」
「うるさいっ! そういう問題ではないのだっ!」
ジャックはそう叫び、女の体を叩く。
その痛みに女は一瞬声を上げた。
その声を聞いたジャックは気持ちが冷め、女から離れる。
「あっ、ジャック様、もっと私にください……//」
「お前には飽きた、おい、次はお前の股をかせ」
「勿論ですジャック様っ♡ あっ♡」
ジャックは別の女に入れて再び腰を動かし始める。
女は快楽に溺れていたが、彼は違った。
冷めない怒りを抱いた彼は呟く。
「ルフレイといったかあの男……ボコボコにしてくれるわ」
そう言いながら、彼は腰をさらに素早く振るのであった。