陸軍基地は空軍基地のすぐ隣に建設する予定だ。
だが工兵部隊は海軍基地の建設で忙しくてこちらの建設までは手が回らない。
そこで俺は新たに工兵部隊を召喚することにした。
また、レーダーサイト建設にも多くの人員が必要なので、俺はあらかじめ多めに召喚する。
「スキル【統帥】発動、工兵部隊を召喚!」
前回のときよりも多くの工兵部隊を召喚する。
召喚人数は4000名。
そのうちの半分が陸軍基地、もう半分がレーダーサイトの建設にあたる。
そして工兵部隊が増えるのであれば、もう1つ増やさなければならないものがある。
それは工事中の工兵部隊を魔物から防衛する歩兵部隊だ。
そして今回レーダーサイトは山の中という未だ未知の場所に建設するので、これも少し多めに召喚しておこう。
召喚した人数は5000名、1個連隊分だ。
これだけの人数がいれば多分大丈夫であろう。
「はじめまして、俺はスミス。この連隊の連隊長で階級は中佐だ。司令官よ、早速だが我々は何をすれば良い?」
連隊長のスミスがやってきて、俺に手を差し出す。
俺はこれに握り返しながら質問に答える。
「やってもらうことは簡単に言うとそこの工兵部隊の護衛だ。陸上基地側とレーダーサイト側の二方向で襲ってくるであろう魔物から彼らを守ってやってくれ。」
スミスは「イェッサー!」といって敬礼をする。
そして彼は手際よく部隊を二分し始めた。
それに習って、工兵部隊も部隊を2つに分け始める。
数分後、部隊の整理と再編成が終わったようだ。
では早速工事に入ろうか。
そう思ったが、具体的にどんなものを作るのか伝えていなかったのでこの場で口頭で説明する。
正直こんな説明でわかるのかと思うような説明であったが、何とか伝わったようだ。
彼らは何かを話し合い、考えがまとまったらしい。
もう大丈夫だと言ってきたので、気を取り直して工事を始めよう。
ちなみにレーダーサイトの部隊は、山の中に車は入れないので徒歩での移動になる。
頑張って。
最後に④に移ろうかと思ったが、俺は少し思いとどまる。
まだどんな街をどんな建材で作ろうか何も決めれていないので、もう少し考えてから始めようと思う。
よって俺はやるべきことはもう終えたので空軍基地に戻り、ハンヴィーに乗って鎮守府庁舎を目指した。
ハンヴィーは少し走った後に庁舎前に停車する。
俺はハンヴィーから降り、玄関のドアを開けた。
そして庁舎内を歩いていると、ふと俺の耳に怒鳴り声のようなものが聞こえてきた。
何かあったのだろうかと俺は急いで声のもとへと駆けていく。
やがて声の発信源だと思われる部屋にたどり着いた俺は、扉を思いっきりあけた。
部屋の中で俺が見たのは、重なり合って倒れたロバート、エーベルト、イゴールの3人の姿があった。
3人は俺に気がつくと、まくし立てるようにこういった。
「飲み物といえばやっぱりコーラだよなぁ司令官!?」
「いや、あんな泥水の何が良いんですか。やはり飲み物といえばビールですよね」
「あんな物はアルコール分が足りない。やはりウォッカが1番だろう」
……至極しょうもない言い争いであった。
別に俺は飲み物は飲めればいいと思っている。
強いて言うなら緑茶が好きだ。
「はいはい、どれでも良いからこれでも飲んで仲直りして」
俺は彼らにそれぞれコーラ、ビール、ウォッカを与える。
それを受け取るとすぐに彼らは蓋を開け、グビグビと飲み始めた。
「HAHAHA! やはりコーラは良いな!」
「ア゛〜、喉にビールがしみる〜!」
「Xaーxaーxa! これぐらいじゃないとやってらんねえな!」
各々飲み物を楽しんでおり、さっきまでの論争はもうすっかり忘れてしまったようだ。
その中でも特にやばいのはイゴールだ。
彼は瓶入りのウォッカをラッパ飲みしている。
「そういえばさ司令。さっき櫂野大佐から聞いたんだが、土壇場で銃を撃って見事命中させたんだって?」
学園内対抗戦でのことだな。
正直当たるとは思っておらず、たたの偶然なのだが。
だが当たったことは事実なので、俺は首を縦にふる。
「司令には見どころがありそうだし、俺が銃の扱い方を教えてあげようか?」
俺の反応を見たロバートは俺にこう持ちかけてきた。
攻撃系の魔法が一切使えない俺にとって、銃はこれから俺の主力火器となるであろう。
そうなると今のうちから練習をしておいたほうが良いかもな。
「じゃあお言葉に甘えて稽古をつけてもらおうかな」
「よっしゃ! 任せておけ!」
俺の返答にロバートはやる気を出す。
そしてそのままの勢いで彼は俺の腕を掴んで外へと引きずり出した。
俺たちは外の開けた場所に出た。
ここなら撃ち放題だな。
「司令、射撃訓練のための的を出してくれ」
俺はロバートの求めに応じて人形の的を取り出す。
ロバートはそれを持って歩いていき、それを地面に突き刺した。
さした彼はこちらに戻ってきてこう聞いてきた。
「そういえば司令ってどんな銃を使うんだ?」
俺は三八式歩兵銃を取り出して構える。
ロバートは初めて見るのか少しそれを眺めた。
やがて彼はこういった。
「えらい古めかしい銃だな。まぁどんな銃でも良い。俺が司令を百発百中の最強ガンナーに仕上げてやるよ」
そして彼の猛特訓が始まった。
俺は彼から銃の扱い方や正しい射撃の姿勢を教わる。
最初は何度も外していたが、やがて段々と命中精度が良くなってきた。
「よし、次は400Mだな」
俺は100Mほど後方へと移動し、射撃を再開する。
ボトルアクション式の三八は装填が少々面倒だが、またそこが良い。
この銃に俺は魅了されていた。
「ふむ、まぁ今日はこれぐらいにしておこうか。明日からもどんどん練習するぞ」
日は既に傾いており、ここから見える海面に夕日が反射していてきれいだ。
俺たちはハンヴィーに乗り、鎮守府へと帰っていった。