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page.146

僕らは瀬ヶ池の店舗を廻り、『なんかお洒落なチョコないかなー?』なんて探したけど…適当な好みのチョコは見つからなかった。



『なんか良さそうなチョコ、見付からなかったね。どうしよう…金魚』


『…そういえば今週って…たしか、アンプリエでバレンタインチョコのスペシャルプライスセール、やってたんじゃなかった?』


『えっ?そうなの!?知らなかった…じゃ行こう!』



…前にもこんな感じで、瀬ヶ池からアンプリエまで歩いたことあったっけ。

徒歩でだいたい30分くらい。歩くのが大好きな詩織と僕は、これぐらいの距離だったら、なんの苦にも思わない。






『ねぇ!あれ…金魚ちゃんと詩織ちゃんじゃない!?』


『本当だぁ!…えっ、見てあれ!なにあの羽根いっぱいの帽子…それもペアルック!?凄い!可愛いー!!…』



僕はそれに気付いて、ニコリと笑って彼女たちに手を振ってあげた。きゃーっと大はしゃぎで、手を振りかえしてくれた女の子たち。



『あらぁ…?金魚もやれるようになったじゃない。きゃははは♪』


『…あ、あはは…』



詩織はいつでも、歩くことと人に見られることが、本当に楽しそう。


僕らのことを知ってて、すれ違いざまに僕らを振り返る女の子たちは、いつも結構見るけど…後を追ってまで付いてくるような子は今まで…いや、これからも多分いない。


今からバレンタインのチョコを買いに向かうのは【la satif emplieレセティ・アンプリエ】。広い広い嘉久見大通りの中央に大通りを仕切るように建つ、この藤浦市では有名な超高層タワービル。







僕らは嘉久見大通りの、あのもの凄く長い長い横断歩道の見えるところまで来た。



『あっ、急がなきゃ!走って!金魚!!』



そして詩織と僕は、歩行者用信号の青シグナルが点滅し、カウントダウンが10秒を切ったのを見て、慌てて駆け出した……!!






『はぁはぁ。あー…んもぅ。間に合わなかったぁ…』



息を切らせながら、そう小声で言う詩織。

ここの横断歩道の信号機は、一旦変わると見た目と同じく《待たせられ時間》もまた長い。



『はぁ…でも…《私のスマホで良ければ来週、鈴ちゃんと直接お話できるかもしれないわよ》って、岡ちゃん言ってたよね!』


『うん』


『来週かぁ…凄く楽しみ♪…はぁ。なんか、テンション上がっちゃうね!…はぁ…はぁ』



息を切らしながらも…詩織は凄くご機嫌そう。



『あ、そうそう。私からの信吾へのチョコ、好きなの選んでいいからね』


『ほんと!?あ…ありがとう』



詩織は本当に機嫌良さそうに、そう言ってくれた。







「…うん。だよねー…」


「はぁ?真依、あんたマジで何人の男の子と同時進行…ってゆうか付き合ってんのよ!?…みたいな。ねー」


「うんうん」



…信号待ちをする僕らのすぐ後ろに、ペアらしき女の子2人が来て立ったのを、僕はふと感じた。

詩織だって、それが気になった様子。



「ねぇ泉美、見てこの帽子!超可愛くない!?」


「あー可愛い。白い羽根でいっぱい覆われてるシルクハット?凄ーい。私初めて見たー」


「しかもお揃いだよ!隣の子と」


「あー。ほんとだね。お洒落だね」





……ん?

今、僕の帽子をツンツンと指で…触られた!?


僕は振り返っ…の前に、僕の真後ろの女の子を、じっと睨み付けるように見てる、詩織の顔が目に止まった。


えぇと…改めて僕は振り返る。



『あなた…今この子の帽子を触っ…』


『あっ!…あの…ごめんなさ……えっ!?』



僕より少し背の高いその女の子は、詩織に指摘され謝ろうとして、僕の顔を見るなり…目を円くして固まった。



『ちょ…泉美!ヤバいよ!この子、最近話題の金魚って子だよ!』


『あ…ああぁ…』









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