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page.162

岡ちゃんは鈴ちゃんと一言二言お礼を交わし、電話を終えた。



『岡ちゃん、お電話ありがとーう♪』

『ありがとう』



岡ちゃんはニコッと笑った。



『詩織ちゃん、金魚ちゃん。最後に鈴ちゃんが言ってたわよ』


『言ってた…って!?』

『えっ、なんて?』



岡ちゃんは僕らに、更に優し気な笑顔を見せてくれながら言った。



『鈴ちゃんね、《2人とも私の大切なお友達なの。だから私からも…2人のことを岡ちゃん、宜しくね!》って』



私の…大切なお友達…。


僕は詩織と視線を交わした。

詩織はこぼれ落ちそうなくらい嬉しそうな笑顔だったけど、僕の絵がだって詩織に決して負けてなかったはず。



『じゃあ…もうたくさんの女の子たちが、金魚ちゃんと詩織ちゃんの2人が《おばタク》から出てくるのをずーっと待ってるみたいだから…そろそろドアを開けるわね。ちょっと待ってて』



すでに《おばタク》の左側は、瀬ヶ池の女の子たちであふれていた。

いつものように後部座席のドアを開けてくれる岡ちゃん。



『岡ちゃん、ありがとう』



先に詩織が出る。外のざわつく声が車内に勢いよく飛び込んでくる。



『ありがとう。岡ちゃん…よいしょ』



そして次に金魚ぼく。岡ちゃんに左掌を預け、ゆっくりと立ち上がるように外に出た。



「きゃあ!…ちょ…見て!!」

「あ…髪切ってる!!」

「わぁ!髪短く切ったんだぁ!可愛いー!」

「でもいい…この髪型凄くお洒落だしかわいい…」

「あー。金魚の今日の髪型、なんかいいねー」



…金魚…かよ。

本人に丸聞こえなんだからさぁ…《ちゃん》ぐらい付け…まぁいいや。



僕は僕らを取り囲む女の子たちの前に立ち、冷めたぐらい落ち着いて周りを見回した。



『きゃははは。やっぱり女の子たちの視線や注目を集めるって…ほんと気持ちいいねー』



僕は黙って、凄く上機嫌そうな詩織をまた見た。



『金魚…あなたがこの瀬ヶ池の【女の子たちの嬢傑ヒロイン】となれる条件は…もう全て揃ってたりするのかもね』


『…揃ってる?』


『だって《並外れた可愛さ》《ファッションスタイル》《十分な知名度》《話題性》そして…《現役有名アイドルとお友達ー♪》』



『まぁ…鈴ちゃんの件に関しては、ただのラッキーだっただけ…だけどねー』なんて詩織。



『やっぱり…まだ全ては揃ってない』


『えっ?…まだ何か足りなかった?』



僕は詩織に、冷静に頷いて見せる。



『…《G.F.》デビュー…』


『あっ!』



僕はもう一度、周りの女の子たちを見渡した…そして一言吠える。



『ねぇ…そんなにこの髪型って…いい?』



「えっ?」

「えっ!?」






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