「ネレアか…
では、トリカブトの毒が入っていたのはダーニャのカップであろう?」
「御明察にございまする。
ネレア様はダーニャ様に恨みがあるのでございますか?」
「恐らく…
第2王子のラヒトを寝取られた恨みであろうな。
第2王子のラヒト、つまり俺の腹違いの兄は、最初はネレアを可愛がっておったのだ。
しかし、ダーニャが現れ、段々と足が遠のき…
ダーニャを4位の女官にまでしたのは、ラヒトの後ろ盾があってこそなのだ。
プライドの高いネレアには自分よりも上位に居る事が許せなかったのかもしれぬ…」
シャルルダルク様はおっしゃる。
「後宮とは女の戦いの場でございますね…」
「しかし、何故ネレアが犯人だと分かった?」
「ネレア様は恐らく自分のカップにも毒を盛っておりました。
それを知っていたため、カップを持つ手が震えておりました。
それに、ネレア様は私と同じぐらい小柄な方にございます。
つまり、毒にも他の大柄な方より弱いはずです。
体重によって毒の致死量は違ってくるのです。
しかし、茶に口をつけた中で1番軽傷でございました。
ネレア様は恐らく、自分のカップの毒の量を調節していた、と考えられまする。」
私は説明する。
「なるほど。
そなたの言う事はもっともで、ネレアが犯人であろう。
しかし…」
「証拠が無い、とおっしゃるのですね?」
「その通りだ。
それとも、証拠があるのか?」
「証拠は作れば良いかとぞんじまする。」
私は言う。
「どう言う意味だ?」
「ちょっとお耳を貸してくだされ。
ゴニョゴニョゴニョゴニョ、でございます。」
私とシャルルダルク様は別れて、それぞれの役割をこなしに向かった。
「ネレア様。
折り入ってお話がございます。」
「そなたは…
ダーニャが目をかけている召使いですね?
話す事など何もない。」
ネレア様は先に進もうとする。
「では、単刀直入に申し上げまする。
今回の毒事件、犯人は貴方様でございますね?」
「なにをっ…!
無礼な!
召使いの分際で!
私がやった証拠はあるのか!?」
「ここに。」
私は一枚の紙を見せる。
そこには…
『ネレア様に頼まれて毒を盛りました。
アマンダ。』
という文字が書いてあった。
「あなたの召使いはもうすでに罪を認めておりまする。
このままでは、あなたが偽証罪で死刑やもしれませぬぞ?」
私は少し強く言う。
ネレア様は、泣き崩れた。
「ラヒト様を愛していたのよ…
なのに、あんな女に鞍替えして…
許せるものですか…!」
「後は、牢の中でお聞きしまする。」
さて、シャルルダルク様はうまくやっているだろうか?