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第11話 証拠?作ればよい

sideシャルルダルク


俺は自分の才能に自惚れていた。

いや、実際に才長け、剣の腕も、#政__まつりごと__#も、兄達に引けを取らなかったし、病弱で無ければ…と何度も思った。


だが、マリーナは薬学にあれだけ長けていながらも、自身の身分や扱いに不平不満を言わず、それどころか皆を助けるのに必死であった。


小柄な少女がどこにそんなパワーがあるか分からぬが、彼女はまた、聡明で賢かった。


そんな事を思いながら、俺は偽造した文を持って、ネレアの召使いアマンダの元を訪れた。


「シャルルダルク様…!」


「そなただな…

ダーニャの茶会で、毒を盛った犯人は…」


「な、な、何のことにございまするか…

私にはさっぱりで…」


「これを読むがいい。」


そこには…


『全てアマンダがやった事であり、私は関係ありません。


ネレア』


という文書があった。


「そ、そ、そんな…

ネレア様…!」


「このままそなたが黙っていれば、毒を盛った罪を1人で背負わなければならないのだぞ?

まぁ、死刑は免れまいな。」


俺は脅す。


「わ、わ、私は頼まれてやっただけなのです!!!

わ、わ、悪いのはネレア様ですわ!!!」


言ったな…


こうして、ネレアは後宮より追放され、アマンダは島流しとなった。


ネレアが首謀者だが、ネレアに対しての罰がアマンダよりも小さいのは…ラヒトの温情か…どうなのか?

それは、誰にもわからなかった…

















俺は、その日も相変わらず薬部屋に入り浸っていた。

マリーナは薬を調合するのに目を輝かせ、俺のことなど、知らぬ、存ぜぬ、に近かった。


それでも、彼女の側に居る事は苦痛ではなかった。


彼女はヨモギをざるで洗って、あっという間に団子のような物を作り始めた。


「なんだ、その団子は?

ヨモギなど食べられるのか?」


「ヨモギはまさに万能の野草にございます。

そして、これは団子ではなく餅でございます。

さてと、これを魔法蒸し器に入れて…


あとは、待つのみでございます!」


「ふぅん、モチか…

そなたは俺の知らぬ言葉ばかりを使うな…


しかし、そんなに大量に作ってどうするのだ?」


「ダーニャ様に差し入れするのでございます。

ダーニャ様にお仕えする女官様も多いゆえ…


あ、出来上がったわ!」


マリーナは皿に入れて俺にヨモギモチを持ってきた。


「み、み、緑だぞ!

このモチとやら!」


「いいから食してみてくだされ!」


俺は恐る恐る食べた。



すると…


う、う、旨い!

なんと、美味な事か!


「コレは旨い!

あの雑草のヨモギがこうなるとは…」


「では、私ダーニャ様に持って行きますゆえ、薬部屋に鍵をかけておいてくだされ。」


そして、マリーナは去っていった。


そろそろ本気で口説いてみるか?

そんな考えが浮かんだ…


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