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第13話 ニーナ姫の病は?

「えぇ…

それが、小さな頃から湿疹が身体に出来ていたのですが、それが最近では顔にも現れるようになって…


痒くて痒くて、あまり眠れもしない様なのです。


どの医者に見せても、湿疹用の軟膏を貰うだけで、一向に回復に向かわず…


お願いします。

ニーナをどうか、助けてやってください。」


エリアス様はおっしゃった。


「マリーナ、治せるのか?」


シャルルダルク様だ。


「湿疹と一言に言っても、色々な可能性が考えられまする。

一度ニーナ姫を診察させていただけませぬか?」


「えぇ、えぇ!

もちろんですわ!


では、私の部屋に参りましょう。」


シャルルダルク様と私はエリアス様に付いていく。


そして、渡り廊下を過ぎ、階段を上がり、エリアス様の部屋に着いた。


「お母様!」


絵本を放り投げて、女の子が駆け寄ってきた。


その子は顔が赤く、若干腫れている。


「ニーナ、お医者さまを連れてきたのよ。

あなたの湿疹もきっと治るわ。」


「はじめまして、ニーナ様。

マリーナと申しまする。」


にこっと笑って言う。


「嫌じゃ!

医者は嫌いじゃ!」


ニーナ姫は走って向こうの方へ行ってしまった。


「ニーナ、そんなわがままは…」


「私にお任せください。

エリアス様。」


私は袋から、くるみ饅頭を取り出した。


「ニーナ様、これは非常に美味しいお菓子でございます。

一つ食べてみませんぬか?」


「…お菓子…?」


ニーナ様は恐る恐るこちらにやってくる。


私はニーナ様にくるみ饅頭を渡した。


「美味しい!

もっと無いのか!?」


「私に肌を見せていただければ、もっと差し上げますよ。」


そんな訳で、診察が始まった。


ニーナ様には、赤い発疹が各所にあり、特に腕の関節や脚の関節、首などに多く見られた。


「コレは…

アトピー性皮膚炎でございます…」


「アトピーセイヒフエン???」


「アトピーとも呼ぶのですが、皮膚のバリア機能が低下して起きる湿疹の事でございます。

アトピーは皮膚の病気に思われがちですが、内臓などの身体の中の機能とも関わっております。


まぁ、難しい事はさておき…


ニーナ様の場合、赤みが強く、また痒みも強いとの事。

その場合には、コレが効きまする。」


私は白虎加人参湯を薬箱から取り出した。


「子供用に量を調節しております。

これを、朝、昼、晩の食事前に飲ませてみてくだされ。

少し、不味いですが、飲んだら褒美などを与えるとよろしいでしょう。


それから、ここで別の施術をしまする。


お湯を桶いっぱい沸かしてくだされ。」


私は言う。


そして、私は生姜のすりおろした物を木綿の袋に入れ、沸きはじめた湯に入れる。


その湯をタオルに染み込ませ固く絞り、患部に乗せていった。

そして、清潔なタオルで拭き取った。


「今日は風呂には入らぬように。

また、3日後に様子を見にきまするゆえ。」


そして、私とシャルルダルク様は薬部屋に戻った。








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