東京九龍魔境都市
連載中·新着更新:糸に血を 上·2025年05月15日 00:51
828人気·0·2.4万字
最初から読むブックマーク応援する
あらすじ
詳細
腐臭を際立たせていた。浮浪者の老人は、ゴミ山の上で泥酔して眠るサラリーマンの財布を盗み取り、束の間の幸運に酔いしれる。だが、その財布の中に潜んでいたのは、九龍の呪物――梵字の黒巾着だった。 黒い靄に絡め取られた老人の肉体は、快楽の果てに無惨に溶け落ち、命は呪物に喰われた。老人を罠に嵌めたのは、他ならぬサラリーマン自身。九龍の掟を知らぬ者には死あるのみ――男はそう言い残し、巾着を懐に帰路へつく。 だが、街角には一人の少女が立ち尽くしていた。濡れそぼった制服姿、曇天を見上げるその瞳は、失われたものを探し続ける旅人のようだった。サラリーマンは知らぬふりで通り過ぎようとするが、背後から降りかかる女の声に足を止める。 絶世の美女――マリグナント・イェラ・スエーガー。九龍最強の魔人・掃除屋の助手であり、男はその名を耳にした瞬間、死を恐れて逃げ出した。 残された少女に歩み寄るマリグナント。少女は仇討ちのため「掃除屋」を探していた。冷たい夜の街に交わされた短い言葉の応酬。その末に、少女はマリグナントに導かれ、魔人たちが支配する異界――九龍へと足を踏み入れるのだった。 ※趣味全開で書いた小説です。閉じる
応援チケット
作品アチーブメント
創意工夫ありし者創意工夫ありし者2025-05-15 17:42ネオ・デビューネオ・デビュー2025-04-14 02:20作者のひとりごと作者のひとりごと
コミュニティ (0)
目次 (9)
しおり
つけとレビュー
会社員兼趣味で執筆活動をしています! 基本的に暗い話や、ダーク系の話ばかりになると思いますが、それでも最後にはハッピーエンドで終わらせられるよう書き続けたいと思っています! 以前書いていた物語も転載していくので、宜しくお願いします!閉じる
フォロー
他の作品
この大地を愛した君へ
この大地を愛した君へその涙を拭う為に、人はどれだけの犠牲を払えばいい。  ネオンの光が欲望の坩堝と化す繁華街。その喧騒の裏、薄闇に蠢く路地裏を、神代銀次は煙草の紫煙を吐きながら歩む。キャッチの誘いを軽やかにかわし、彼の心は冷たく、ただ仕事――妖魔を斬る使命――にのみ向かう。財布に金の余裕があろうと、心に余裕はなく、舌に残る香水の雑味は彼の厭世的な吐息に溶ける。  携帯電話の着信は、如月鏡花からのもの。彼女の声は、任務の重さを告げる。「三人死んでいる」と。斬魔の戦士と術師が妖魔の巣に呑まれたという事実を、銀次は「弱かっただけ」と冷笑で切り捨てる。鏡花の怒りと人間らしい悲しみは、彼の心に波紋を残さず、ただ黒ずんだアスファルトに吸殻を捨て、裏路地を進む。  斬魔――呪いから生まれる妖魔を討つ者たち。社会の裏で血と命を賭して戦う彼らは、ヒーローという虚飾の下、過酷な運命に縛られる。初戦の死亡率は20%を超え、生き残った者も心に傷を負う。銀次は、その傷を宿命と嘲りながら、上級討魔官として剣を握る。だが、その刃は、英雄の栄光ではなく、生贄の血で濡れているのかもしれない。  この戦いは、単なる妖魔退治ではない。教団の陰謀と斬魔の宿命が交錯する、銀次の運命の岐路。血と闇の中で、彼は何を見、何を斬るのか。過去の冷たく薄暗い人生に、未だ見ぬ光が差し込む予感を、剣の刃先に宿しながら――。
ファンリスト