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本論文は、「百合」と呼ばれる女性同士の親密な関係性を描いた文化的ジャンルが、いかにして日本社会において成立し、発展してきたのかを多角的に考察するものである。百合文化は友情と恋愛のあいだに存在する曖昧な情動を表象しながら、少女小説や漫画、アニメといったメディアを通して独自の市場と支持層を形成してきた。 論文はまず、百合文化の歴史的源流を大正期の「エス」文化や少女文学に求め、戦後の少女漫画を経て現代のメディアミックス作品に至るまでの系譜を整理する。その上で、ジェンダー研究やメディア論の観点から、百合がなぜ商業的にも文化的にも成立しうるのかを分析する。 さらに、同人文化やSNSを通じたファン主導の創作、クラウドファンディングによる作品支援の実態を踏まえ、百合が単なるサブカルチャーにとどまらず、グローバル化の文脈でも存在感を強めている現状を論じる。最後に、表現倫理や多様性の観点から、現代における百合表象の課題と可能性を展望する。 本稿は、百合という文化が、性別や恋愛観に対する既存の枠組みを問い直す表象空間として、今後さらに重要な意味を持ちうることを示唆するものである。閉じる
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ネオ・デビューネオ・デビュー2025-06-19 10:43創意工夫ありし者創意工夫ありし者作者のひとりごと作者のひとりごと
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小説書いたり小説読んだりプログラミングとかしてる中学3年生(2025/06/20時点) 怪文書を書いたり小説を書いたりしてる いつでもネタ募集 Twitter: @tanahiro2010 YouTube: @tanahiro2010 Kakuyomu: @tanahiro2010 Site: https://tanahiro2010.com閉じる
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【怪文書】“男装女子”はどこへ消えたのか──視覚メディアにおける“中性美”の興亡とジェンダー規範の再編成かつてアニメや少女漫画を中心に存在感を放っていた「男装女子」──中性的な装いと振る舞いを持ち、女性でありながら男性的属性や美学を体現するキャラクターたち──は、2020年代の視覚メディアにおいてほとんど姿を消しつつある。本論文は、この表象の消失を「文化的現象」として捉え、その背景にある視覚的欲望の変容、キャラクター消費構造の変化、そしてジェンダー規範の再編成を多角的に検証する。 まず、宝塚的理想像から90〜2000年代アニメにおける“中性美”の成立までをたどりつつ、男装女子が果たしていた「女性の中のもう一つの理想」としての役割を整理する。続いて、表象が細分化・属性化されていった過程、現代における“曖昧性”の忌避、萌え系ヒロイン像の強化、フェミニン回帰、そして男の娘やクィア系男性キャラへの代替的転移を分析する。 そのうえで、「男装女子」の衰退が単なるジャンル消失ではなく、メディアが提示する“女性のあり方”の再定義を象徴していることを論証する。また、筆者自身の感性を通じ、失われた中性美に対する個人的喪失感も提示しながら、今後その表象がどのような文脈で回帰し得るのかを展望する。 この論文は、視覚メディアにおけるジェンダー表象の推移を追うとともに、フィクションの中に投影される欲望と規範の変容を明らかにする試みである。
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