宙と美里の彗星防衛戦記
連載中·新着更新:第14話 氷湖の夜 ·2025年08月06日 17:20
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あらすじ
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 火曜の昼下がり、渋谷駅ホームで講義帰りの大学生・宙は、突然現れた白い裂け目に呑み込まれ、王国アルスター郊外の遺跡に転移する。現地で出会った案内人の少女・美里は「彗星が五十日後に王都を滅ぼす」という不吉な預言を告げ、回避の鍵として〈失われた十二史書〉の捜索協力を求める。宙は忍耐力を欠く自分の弱点を自覚しつつも、他者に寛大であろうと決意し、二人で旅に出る。いつも楽しむ心を忘れない美里の導きのもと、彼らは配慮上手な商人・慶、歴史に精通するももこ、綿密な計画を立てる戦術家・裕紀、語り部のゆかりら個性的な仲間と出会い、灰色の森の魔獣や帝国の罠を乗り越えながら巻物を集めていく。  物語の舞台は、空を駆ける浮島、地底湖に沈む図書庫、霧深い沼地、天空要塞ソルマキアなど多彩。仲間はそれぞれ信念と欠点を抱え、時に衝突しながらも、宙の寛大さと美里の巧みな誘導で結束を強める。一方、彗星崇拝を掲げる教団が史書奪取と王位簒奪を狙い、宰相や王家内にも暗躍の影が差す。迫る彗星の尾が夜ごと大きさを増し、王都は恐慌寸前。宙は帰還用転移陣と王国再建顧問の地位という二つの未来を提示されるが、日本での平凡な日常と仲間たちの明日を天秤にかけ、迷いを深める。  決戦前夜、首都地下で始動した教団の降臨儀式を止めるため、宙たちは孤児兵を抱える首領と対峙。信念を貫く医師・陽香が身を挺して子どもたちを庇い、書くことで心情を綴る愛里の記録が首領の過去を暴く。激闘の末、十二史書が放つ光条が彗星を裂き、王都を覆う防壁となる。救われた空の下、宙は「忍耐と寛大さで築く未来」を選び、帰還権を捨てて異世界研究院の初代院長に就任。彗星残光が石畳を照らす日曜の夕暮れ、宙は美里と微笑を交わし、新時代の開幕を見つめる──。閉じる
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ネオ・デビューネオ・デビュー2025-07-24 17:15創意工夫ありし者創意工夫ありし者作者のひとりごと作者のひとりごと
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