繭の中から ― 白い祈りの記録 ―
連載中·新着更新:第一章 蚕の部屋とわたし·2025年07月31日 20:26
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あらすじ
詳細
本作は、以前投稿した超短編『繭の中から』をもとに、大幅に加筆・再構成した長編版です。 昭和初期の信州を舞台に、蚕と少女、そして“変わること”に抗う心を描きました。 あの掌編が印象に残っている方も、初めて読む方も── ぜひ、繭の奥に宿る静かな物語に触れてみてください。 昭和初期の信州。 養蚕を営む家に暮らす少女は、祖母から“繭守”の役目を教わりながら、静かな日々を送っていた。 しかし、身体の変化とともに、羽化を運命づけられた蚕たちの生と死が、どこか他人事ではなくなってゆく。 口を持たず、語ることもなく命を終える白い生きものたち── 彼らの沈黙に耳を澄ますうち、少女の中に、ある疑問と祈りが芽生えていく。 これは、「変わること」に戸惑いながら、与えられた役目と命の意味を見つめ直す、 ひとりの少女と“声なき命”の、静かな夏の物語。閉じる
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ネオ・デビューネオ・デビュー2025-07-31 20:26創意工夫ありし者創意工夫ありし者作者のひとりごと作者のひとりごと
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つけとレビュー
はじめまして。青羽イオと申します。 「記録に残らないもの」や「声を持たなかった存在」たちが、 それでも確かに“ここにいた”ということを、物語として残したいと思いながら書いています。   現代ディストピアSF『ユートピア・オーバードーズ』では、 幸福を制度化した社会で「共鳴」を恐れる人間の倫理と感情の境界を描きました。 感情を測定する動物たち〈コンパニオン〉に、人が何を背負わせてきたか。 幸福とは誰のもので、やさしさはいつから数値化されるようになったのか。 その問いを、静かな反抗として物語に綴っています。 一方、昭和初期を舞台にした『繭の中から』では、 “育てるもの”としてしか扱われなかった蚕と、 「大人になりたくない」と願う少女の姿を重ねながら、 命の循環と家畜化された存在の倫理を見つめ直しました。   時代も形式も異なりますが、私が書きたいのはいつも、 “声にならなかった願い”と“気づかれなかった共鳴”の記録です。   どうか、その沈黙に耳をすませていただけたら嬉しいです。閉じる
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