読了後、しばらく帰って来れませんでした。
『幸せとは一体何なのか』
裃さんの作品に共通している深いテーマのような気もします。
大義や野望を抱かずにはおれない厳しい世界観の中で、何をもって幸せとするのか。
先の展開が読めない中、考えずにはいられないのです。別ルート、きっとあったよね?
でも、きっとそのルートは選ばない。
月華も、瑛麗も。王も。英雄も。
厳しい道を選ぶからこそ見える景色や、だからこそ掴めた幸せもあって、後の世の歴史書や、全てを『観測』している読者でさえ、不幸と決めつけられない。
「簡単に人の人生を幸か不幸か他人が決めるな」
そういう美学がある気がします。
瑛麗にとっては些細な気まぐれ。偶然の発露。
それが人生を変えるほどの波紋を起こす。
運命や宿命、縁とは恐ろしいものですね。
個人的に、月華自ら剣を握るのは予測できなくて、そりゃそんなかっこよかったら王も瑛麗様も惹かれるよ! となりました。
美しく守られるだけじゃない、舐めんなよという底力大好きです。
むしろ、瑛麗様の方が守られるべき花なのですよね。だからこそのラストシーン、やっぱりこの結末が不幸だとは言いきれないのです。
短編て何だっけ?
とココ最近の連作を拝読して感じています。
濃厚濃密濃縮世界観。
今回も楽しませていただきました。